第359話 ◆UFOキャッチャー
◆UFOキャッチャー
ある日、あたしは急に鉄火丼が食べたくなった。
よし! トローリングに出かけて大物を釣ってこよう。
あたしがひとりで美味しいものを食べるとアリシアがプンスカ怒るので、大物を釣り上げてみんなにも食べさせてあげようと思ったのだ。
そして魚大好きといえば、メイアである。
なので、メイアも連れて行くことにした。
シルフたちは、もはやあたしの体の一部になっているので、黙っていてもモレなくついて来る。
今回のメンバーはこれだけだ。 あまり大勢で出かけると碌な事が起きないからね。
・・・
さっそく港でトローリングが出来る船を借りる。 もちろん竿や餌などもセットになっている。
エンジンはイルカ型2頭で、船の大きさからみても過剰スペックだが、行き帰りを考えれば速いに越したことはない。
よしっ! それじゃあ大物を釣るぞーーー!
つるぞ~!
実は、モモちゃんの結婚式の帰りに飛行船から、絶好のスポットを見つけていた。
なにしろ海が澄んでいるから、上空からだと魚の群れまでが良く見えるのだ。
スポットはUFOを目撃した場所の近くで、もしかしたら宇宙人もマグロを獲りに来ていたのかも知れない。 なんちゃって。
飛行船と比べると幾ら高速船といえども1/5ほどの速度しか出ないので、トローリングスポットまでは結構な時間がかかった。
それでも船は、舳先を持ち上げて波の上をバウンドしながら突き進む。
まるで自分たちがトローリングで釣られた魚になった気分だ。
うーん 気持ちがいいねーー
一番最初に釣れた魚はメイアにあげるからねーー
やった~
ピョンピョン嬉しそうに跳ねるメイアは、ほんとうにカワイイ。
ふと、ドラゴンって大型犬のゴールデン・レトリーバーに似ているところがあるのかも知れないなと思う。
!!
そんなことをモヤモヤ思っていたら早速ヒットだ!
竿が大きくしなる。 大物だとファイト時間も長くなる。 その場合はメイアと交替してもらわないと体がもたない。
メイアは早くも涎が出てるし、1時間以内にはなんとか決着をつけたいところだ。
ウォーーー
竿を思いっきり引いてから緩め、竿先を下げながらリールを巻く。
何回か同じ動作を繰り返して、体を思いっきり反らせて青空が目に入った時、強い光りを放つUFOが頭上に飛んで来た。
あたしはすごく驚いたのだけれど、体はリズムを覚えていたのかリールを巻く動作をひたすら続けている。
UFOは、ちょうどあたしの真上30mくらいのところを船と一緒の速度でピタリとついてきた。
船の後方で、針にかかったカジキマグロが、水面を大きく跳ねる。
ジャンプした後もラインを強く張っていることが重要だとラッセに教わったので、必死で頑張る。
UFOのことは、目の前のカジキマグロとのファイトを征してからだ。
だけど、悲しいことにUFOは待ってくれなかった。
お決まりの円筒形の光のビームがUFOから、あたし目掛けてゆっくり降りて来て、それが甲板に達した時、あたしの体はふわりと浮き上がった。
まるで無重力状態のようで、手足をバタつかせてもどうにもならない。
そうしている間にも、体はどんどんUFOに吸い寄せられて行く。
うわ もしかして・・・ あたしヤバイ気がしてきたよ!
メイアをみれば、UFOがどんなものか知らないのか、あたしが離した竿を握りしめ、カジキマグロとのファイトを続行している。
そうだよ、食いしん坊のメイアが目の前のご馳走を逃すはずがない!
そうしている間にUFOの底の扉が左右にスライドし、まあるい穴がぽっかり口を開けた。
ヤバイ、拉致られる! メイアーーー 助けてーーーー!
だが、吸引ビームの中からは、あたしの声はメイアに届かなかった。
あたしはメイアがカジキマグロを釣り上げて喜ぶ姿をちらっと見ながらUFOの中へと吸い込まれていった。
まるでUFOキャッチャーに掴まれたぬいぐるみのように・・・
あ~あ 捕まっちゃいましたね~。 この後セレネは、どうなってしまうのでしょうか・・・
続きは作者が焼きそばUFOを食べてから考えるそうです。 次回をお楽しみに~。
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