第358話 ◆UFO現る
◆UFO現る
モモちゃんの結婚式にも何とか間に合って、幸せそうな二人を見ることが出来た。
やはり、圧倒的なスピードを誇る もにゅぱ~ を飛行船のエンジンに採用したのは正解だった。
十分な休憩と新鮮な海の幸をお腹いっぱい食べさせたので、もにゅぱ~が飛行船を引く力も強く帰路は大きな問題も起こらないだろう。
お土産にもらった式で着た衣装は、二度と着ることはないと思うけどアリシアをからかう時くらいには使えるかも知れない。
・・・
なんだかんだあっても、帰路は到着が多少遅れようが困るような事は何一つない。
そんなのんびりとしたフライトだったはずなのに、事件は何故か必ず起きてしまう。
セレネちゃん、前方から何か凄いスピードで飛行船に近づいて来るものがあるわ!
ヴォルルさん1/10が、操縦席の窓から前方をゆび指す。
指されたゆびの先を見れば、確かに小さな光がこっちに向かって来るのが見えた。
いったいなんだろう。 UFO? あたしは前にテレビで見たUFO特集の映像が頭に思い浮かんだ。
その光は、やがてジグザグに飛び始め点滅を繰り返すようになる。
あ゛ーーー 間違いないわ! あれは、UFOよ!
セレネちゃん、UFOってなに?
え~っと 確か Unidentified flying objectの略で、未確認飛行物体っていうのよ。
ヴォルルさん。 もしかしたら、あれに宇宙人が乗ってるかも。
未確認? 宇宙人? ??
ああ、ごめんなさい。 簡単に言うとUFOは、なんだか分からない物体のことで、宇宙人って言うのはこの星以外の星に住んでいる人間のことっていうか・・・
あー なんとなく理解できたわ。
あれっ? UFOが消えた?
あたしは、ヴォルルさんに説明していた僅かな間にUFOを見失ってしまった。
ヴォルルさんも一緒に目撃したし、これは目の錯覚なんかではない。
もし、あれが本物のUFOなら、宇宙人に遇えるかも知れないぞ。
あたしは、なんだかワクワクして来た。 このワクワク感は、久しぶりだ。
一応、遭遇した場所を記録しておかなくっちゃね。 あたしは現在の位置を、飛行船に備え付けてある航空図に記入した。
・・・
その後、UFOは現れずに、あたしたちは首都の外れの駐機場に無事に着陸した。
駐機場は無人でも対応できるように、飛行船からフック付きの係留ロープを垂らして、大きな鉄製のリングにフックを引っかけると水車を利用した巻上機が回り、飛行船がゆっくり地面まで降下する。
みんな、お疲れ様~。
ヴォルルさん、操縦ありがとうございました。
あらあら、どういたしまして。 セレネちゃん、どうだった。 あたしの操縦の腕は?
はい、想像してたより、ずっと上手でした。
でしょう。 あの もにゅぱ~って鳥を思った方向に飛ばすのってすっごく難しいのよ~。
まあ、途中で少々痛い目に遭わせてやったけどね。
あーーー それで途中から もにゅぱ~ の元気がなくなったのかぁーーー!
あらやだ、バレちゃった。 オホホホホッ
・・・
お城に戻ったあたしたちは、コリン君やサリエル、ミミさんら留守番組みの人たちにおみやげを渡したり、モモちゃんの結婚式の様子を話したりした。 (式で着た服のことは黙っていたけど)
そして、帰りに見たUFOのことも話したんだけど、そうしたら意外にもサリエルがその光について何度か目撃していたことが分かった。
それはまだ、サリエルが天界に住んでいたころなのでかなり前だったが話しを聞く限り、あたしが見たものと同じようだった。
なんでも、天界付近にはよく出没していたようで、サリエル以外にも目撃した天使は多くいたようだ。
また、最近ではミミさんも船上から、空を飛ぶ不思議な光を見たにゃっとその時のことを教えてくれた。
ふ~ん、なんだみんなもUFOを見た事があったんだねー。
あたしは、なんだか急にUFOに興味が無くなってしまった。
そして、あたしがUFOに連れ去られるまで、すっかりそのことを忘れてしまっていたのだった。
なぜか急に焼きそばが食べたくなったので、次回へ続く・・・
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