第343話 ◆王立図書館プロジェクト その2
◆王立図書館プロジェクト その2
首都に立派な図書館を造り、国民の教養レベルのアップと快適な勉強・読書環境を提供する。
これが今回の王立図書館プロジェクトの目的だ。
ただ大きな図書館を造るだけではなく、蔵書の種類や本の数にも拘りを持って取り組む。
これにはかなりの資金が必要なのは覚悟していたけれど、ミミさんが試算した資料を見せられたあたしは、開いた口の顎が床についたかと思うくらい驚いた。
え~っと、初年度でこれだけ必要ってことですよね?
そうにゃ!
ミミさんの耳がピクピク動く。
う~ん。 それで、これには運用コストが入っていないと・・・
はいにゃ! 人件費や経費などのランニングコストは別表のとおりにゃ!
ミミさんの耳が、フルフル動く。
うにゃ~ 別表を見た、あたしも思わず猫語になる。
ミミさん、初年度に仕入れる蔵書をもう少し絞り込めますかにゃ? ←セレネ
ふぎゃっ?
ミミさんは、あたしの質問にそれは意外にゃ っというばかりに驚いた。
今度は耳ピクだけではなく、シッポの毛までが逆立った。
ふむ、これは反応が分かり易い人だなあ。
実は温泉やプールを造ったので、国の財政も結構厳しいのだ。
それにアンディが設立する航空会社へ出資もしなければならない。
予算については、経済担当大臣のコリン氏と相談して見ますが、ご希望の額まで出せるかはたいへん厳しいと思います。
なぁ~ご
うん、これはちょっと悲しげに聞こえるぞ。
あたしは、猫語が少し分かったような気がした。
・・・
ミミさんが作成したプロジェクト計画書の貸し出し管理の項目に、管理方法が記されていたので読んでみた。
ざっと読んだけど特筆する部分はない。
本に挟んである貸し出しカードに日付と名前を書いて、本と引き換えにカードを係りの人に渡す。
係りの人は、その人のイニシャルを見て、あいうえお順のインデックスがついた該当する引き出しに、貸し出しカードをしまう。
これだけでは、貸し出し日が過ぎた場合に督促が出来ないので、その引き出しの中は、更に月別週別のインデックスが付いている。
つまり、セレネが返却日が2月20日の本を借りたら、’セ’のインデックスの引き出しの2月の4週のインデックスに貸し出しカードをしまうのだ。 もちろんこの中のカードは蔵書番号順だけど、ここまで来ると蔵書番号はあまり使わない。
これで、2月の4週が過ぎたら、各引き出しの2月4週に残っているカードを集めてくれば、貸出期限が過ぎた本のフォローが出来る。
いままでは、カードは蔵書番号順に並べてしまっていたので、返却された本に刻印されている蔵書番号と同じカードを探せばよかったが、返却期限が過ぎたものは管理し難かった。
はたして、どちらが管理しやすいのかは、やってみなければ分からない。 そこは結果を見て改善していけばいいだろう。
・・・
コリン君、王立図書館の予算なんだけど・・・
ああ、僕もミミさんから見せてもらいましたよ。
そうだったの?
さすがに、あの額は融通できませんねー。
そうだよね。 ほかの予算を削って図書館の方に回せないか検討できる?
他の大臣がうんって言うかなあ。
アンディへの出資を削るっていうのは? トータルは減らさないけど今年度分を来年にずらすとか。
それは無理です。 コリン君は、あっさり拒否する。
やっぱり、旦那様の会社だものね。
いやいや、それは違いますよ。 いくら身内への出資とは言え不正は絶対にしませんってば。
会社の立ち上げに必要な資材とか飛行船とか、海上拠点用のフロートとかお金がいくらあっても足らないんですよ。
あー ごめんね。 そうだよね。 やっぱり図書館の方は減額しないとだよね。
どうやらお金の工面が出来ないようなので、次回へ続く・・・
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