第342話 ◆コタツとカワイイ妖精たち

◆コタツとカワイイ妖精たち


季節は晩秋となり、朝晩はかなり冷え込むようになった。


あたしの大きかったオッパイも、けいちゃんが乳離れしてプシューという音が聞こえるほど、もとのサイズまで縮んだ。


そしてこの二つの条件が揃ったことで新たなる問題が巻き起こるとは、あたしは夢にも思もっていなかったのだった。


・・・


モゾモゾモゾ  ポンッ  ←シルフがお腹から這い上がって、胸の谷間を押し分け顔だけ出した音


ムフ~  ←暖かくて満足した


まあ、シルフと付き合い始めた頃からの彼女の定位置なので、あたしは気にならないけれどね。



寒くなるとこの妖精さんは暖かい場所を求めて、すぐにもぐり込んで来る。


今まではひとり独占状態(ここに入れるサイズはシルフだけ)だったが、途中からもう一人の適合者が現れた。


そいつも、シルフの分身なので、当然寒さに弱い。


前からシルフが柔らかで温かい特別な場所で、至福のひと時を過すのを羨望の眼差しで見て来た。


そして、やっと対等の立場になったブラックは、ついに行動に出たのだった。



ブラックもあたしのシャツを捲り、お腹がわを這い上がって谷間の下からシルフを押し出し、自分がそこに収まった。


ムフ~  ←ブラックが暖かくて満足した



一方、押し出されたシルフはバストの頂上から一気に床へと転落して行った。


あわや床に激突かと思ったギリギリのところで、羽を広げ胸のところまで戻って来るとブラックの頭をペチッと叩いた。


かくして、シルフVSブラックの第二次全面戦争が勃発したのだった。


まあ、お互い本気でないにしろ、胸元や顔の目の前で ギャイギャイ うるさくてかなわない。


目の前をハエがブンブン飛び回っているようで、ほんとうに鬱陶しい。



こらこら、君たち。 いつまでも騒いでいるとココは出禁にするよ!


あたしは胸元をゆび指し、シルフたちに向かって怖い顔をして見せる。



すると二人は急にシュンとなってしまった。


ちょっと可哀そうになったので、一日ごとの交代制にしなさいよと言うと、お互いの顔を見つめてコクコク頷いた。



あぁ、あたしも寒い日に、体を温めてくれる旦那様が欲しいよーーー!


・・・


交代制で一件落着したかに思えたこの件について、新たなる問題が勃発した。


木枯らしが吹き始め、さらに寒さが厳しくなってくると、メイアとアリシアが参戦してきたのだ。


流石にこの二人は胸の間には入れないが、枕を持ってあたしのベッドに突入して来ては抱きつく。


当然、シルフたちの憩いの場所は、メイアたちがあたしに ムギュ っと抱きつくので、圧迫されくつろげる場所ではなくなる。


そして、ついにシルフたちの怒りが限界に達した。


アリシアとメイアの服の中それぞれに、シルフとブラックがもぐり込んだのだ。


当然、妖精たちの体は氷のように冷たい。


ひゃぅ~ 


つめたい~


セレネはあたしたちの専用の暖房器具!


わかったか!


えええーーー  あたしってコタツだったのーーーー!



これに懲りたアリシアとメイアがあたしの布団にもぐり込んでくる回数は、大幅に減ったのでした。




寒い冬が来る前に、お城の暖房を強化しなければならないので、次回へ続く・・・

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