第334話 ◆オトミさん
◆オトミさん
ロロ君のお母さんドラゴンは、人魚たちの助けもあって大亀の背中に乗せてもらい、セレネ王国の港まで無事に連れてくることができた。
お母さんドラゴンは、あたしが水と栄養満点の固形食糧を口に入れてあげたこともあって、途中で気がついた。
だいぶ衰弱していたけれど、アリシアがずっと回復魔法をかけ続けてくれたので、港に着いた時には、なんとか自分で動けるようにはなっていた。
港に着いてからは、ニーナとサリエルがバトンタッチして治癒魔法を使って引き続き回復させていく。
あたしも相当へばっていたのだけれど、みんな忙しそうだったので、あたしにも回復魔法をかけてねとはお願いできなかった。
まあ、女王という立場だし自分よりは国民やこの国を訪れてくれるお客さまたちの方を優先してもらった方が嬉しい。 ←うそ
・・・
お母さんドラゴンに聞いた話しでは、あの島で自分たちが落ち着いて棲める場所を探していたところ、急に重力魔法で動きを封じられ、鎖で体を動けなくされてしまったらしい。
あたしも鎖で縛られたことがあるので、この辛さや苦しさは痛いほど分かるのだ。
どうしてあんな目に遭ったのかは、はっきり分からないらしいけど、やっぱり不老不死の薬の材料にするつもりだったのではないかと言っていた。
まったく酷いやつらもいるものだ。 科学的根拠などあったものじゃない!
例え短い人生だって精一杯生きれば不老不死にだって値するじゃん。 ←本人はかっこいい事を言ったつもり
・・・
港に帰ってきてから3日が経った。 ロロ君はいまだ行方不明だ。
それにしても、ドラゴンの本気モードは凄かった。
もしもあの暴走を止められる者がいるとするならば、ヴォルルさんくらいだろう。
それでロロ君のお母さんの名前は、’オトミ’さんというのだそうだ。 あたしは、一瞬日本人?とか思ってしまった。
オトミさんにロロ君の事が心配ですねと言ったら、「別に」とどこかで聞いたことがあるような反応が返って来た。
オトミさんを助け出してくれたのは、実の娘さんですよ~と言っても、「そうですか」の一言だ。
なんなんだよ! オトミさん! こんなんじゃ助けてあげなかった方がよかったんじゃないの?
あたしは腹が立ってしょうがなかった。 別に助けてくれと言われたわけでは無いけど、そういう事じゃないよね!
久しぶりにプンスカ怒っているとメイアが抱っこしろ~と言って来る。
今回メイアは、大活躍だったのでおもいっきり抱っこしてあげる。 実の子どもの’けいちゃん’より、メイアの方が抱っこの回数がぜんぜん多い。
メイアは、お母さんに会えてうれしくないの?
セレネが好き~♪
ズキューーン
はぅ・・・ メイアにはいつもやられてしまう!
どうやら、ドラゴンの親子は向こうの世界で言うと、鶏の親子のようなものなのかも知れない。
あたしたちはどうも自分たちを基準にしてしまうけど、どこが基準かなんて一つの種が決められるわけがない!
自分たちから見れば少々薄情な気がするけど、最強生物のドラゴンは親から守ってもらうとか親を守るとかは必要ないのだろう。
ロロ君は親離れする前だったから、お母さんドラゴンのことを守りたかったんだと思う。
不思議な話しだけれど、ニーナとか’けいちゃん’よりも、メイアの方がずっとあたしの母性をくすぐる。
なんだかんだで、メイアは甘え上手なんだろうな。
オトミさんは、ロロ君が戻ってきたら、また自分たちが棲みやすい土地を見つける旅に出るそうだ。
あっ、そうだ忘れてた! 温泉施設のオープン予定日まで、あと1週間しかない!
みんな~! 予定通りオープン出来るよね~!
ね~ みんななんで黙ってるの? ねーってば!
セレネが、みんなから意地悪されているけど、次回へ続く・・・
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