第328話 ◆そんなに臭うのっ!

◆そんなに臭うのっ!


この島は人間タイプの生き物がほとんど住んでいないため、当初期待していた目撃情報を得るのは困難な状況だった。


これは解決するまでに時間がかかりそうだと覚悟を決めていたのだけれど、なんと2日目の午後にお母さんドラゴンの手がかりらしきものを見つけた。


それはロロ君の記憶を頼りに内陸部へ向かったいた時、上空から見るとお母さんドラゴンが襲われた場所によく似た地形を発見したことだ。


そしてそこに降りて辺りも調べてみたら、直ぐに大きな轍わだちが見つかった。


たぶん降雨季を少し過ぎたころで、道がまだぬかるんでいたところを重い馬車が通ったため地面がえぐれ、その後乾いて轍が残ったのだろう。


この発見はラッキーだった。  直ぐに空から轍の後を追跡するが、しばらくすると残念ながら轍は密林の中に消えていた。


当然、空からでは追跡できないため、今度は徒歩で轍の跡を追う。



あたしは、虫が大の苦手だ。  それに加えてこの島の生き物は、みんな気持ちが悪い。


だから、あたしはロロ君の後に隠れるようについて歩いた。


もう常にビクビクしている。



そしてさっそく出やがりました!



ベチャッっと首筋に、大きな蛭が落ちて来たかと思ったら、チューーと音が聞こえそうな勢いで血を吸われました。


もう、一発で全身の血液の三分の一を持って行かれ、貧血で全く動けませ~ん。


もし、二匹に襲われていたら、1分でミイラになっていたと思います。


↑ 後のセレネの日記より



もちろんロロ君にも蛭がたかったのだけど、ドラゴンの硬い鱗には蛭も歯が立たなかったようだ。



そしてこの蛭の恐ろしいところは、口が強力な吸盤になっているため、引きはがそうとしても容易に剥がれないことだ。


もがいているうちに、強力な麻酔成分を傷口から注入され、意識が飛んだところを吸血される。


おまけに血液が凝固しにくくなる成分までが含まれているので、血を吸われたあとも出血がなかなか止まらない。



もうやだ!  あたし帰る!  帰るーーーー!  


倒れながら、あたしはこう叫んでいたらしい。



駄々を捏ねるあたしをおぶって、ロロ君は轍の跡を必死で追跡したそうだ。  ←セレネはこの時点でお荷物状態である


そして、あたしがようやくひとりで立って歩けるようになったころ、轍はある海岸へと達したのだった。


どうやら、ここから船にでも移されてどこかに運ばれて行ったのだろう。


残念ながらここで、手掛かりが途切れてしまった。


ここから先、いったいどうすればいいのだろう。



あたしが一人途方に暮れていると、ロロ君が鼻をクンクンさせてあたりを嗅ぎまわっている。


こ・・・これはもしかして・・・


そう、何時ぞやメイアとシルフがダンジョンでゲットしたお宝を悪者の商人に盗まれた時の警察犬ごっこだ!


ロロ君、お母さんの匂いがするの?



あたしがロロ君の傍に近づこうとすると・・


セレネさんが近くに来ると臭くて匂いが分からなくなるから、あっちに行っててください!


とロロ君から強めの口調で言われてしまった。



にゃっはっぅ!  あ、あたし臭い!  そんなに臭うのっ!


そういえば、もうロロ君と捜索の旅に出てから、彼此2週間近くが経っている。


その間、もちろんお風呂などには入っていない。


そうだよ、いくら若い娘だって2週間もお風呂に入らずに同じ服を来てたら、少しくらい臭くなるよね!  ←もう娘ではない!


ねぇ、ねぇ、そうだよね。



そう言いながら近づこうとすると、ロロ君はしっ、しっとあたしの事を邪険に追い払う。


あたしは、泣きながらそのまま海にザブザブと入って体を洗ったのだけれど、今度は全身が磯臭くなってしまった。


おまけに塩で体がベタベタする。



ここから先、ロロ君のあたしに対する態度が極端に冷たくなった気がしたのは、決してあたしの気の所為だけではアルマーニよ!


これは’あるまいよ’の誤変換ではアルマーニよ!  



このように作者が暑さでやる気をなくしているようなので、次回へ続く・・・

なお、この日は35度の猛暑日でした。


※セレネの名誉のために追記しますと、ドラゴンの嗅覚があまりにも鋭いのでセレネが臭いことになっていますが、実際にはさほど臭いません。 ←セレネに脅迫されて書かされている?

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