第326話 ◆セレネ2度吐血する
◆セレネ2度吐血する
ロロ君に詳しく話を聞いたところ、どうやらお母さんドラゴンが悪い奴らに捕まってしまったのだそうだ。
ドラゴンは、以前メイアを連れて行ったドラゴンの保護地域(ドラゴンの里)があるように、いまは絶滅の危機にある。
一方でドラゴンの角や体の一部は、不老不死の薬として珍重され、いまだに密猟者もいるのだ。
ただし、ドラゴンはメイアを見ても分かるように、この世界では最強の生物であり、もし捕まえようとしたら相当な魔力を持つような者でもない限り不可能だ。
例えるなら、ヴォルルさんとかアンディクラスの者でもないと逆に命を落とす破目になるだろう。
そんなリスクを冒してまでドラゴンを捕まえる奴らだから、何も考えずにノコノコと助けに行くのはこっちも危険だ。
・・・
あたしは広間に仲間を呼んで、もう一度ロロ君の口から詳しい状況を聞来だした。
それによると
ロロ君が独り立ちをする日に狙いを定めたように、そいつらが突然現れ、太い鎖で出来た網をお母さんドラゴンに被せて動けないようにしたあと、そのまま強力な氷結魔法で凍らせて、どこかへ連れ去っていったらしい。
お母さんドラゴンの叫ぶ声が聞こえて、ロロ君が慌てて引き返す途中で怪しい大きな馬車とすれ違ったそうだ。
お母さんドラゴンがいた場所で一部始終を目撃していた旅人から聞いたところ、お母さんドラゴンはその馬車に乗せられて連れて行かれたのだった。
ロロ君が慌てて馬車を追跡して、あともうちょっとで追いつくという所で何者かの重力場魔法により、その場所から身動きが取れなくなり結局見失ってしまった。
その後は自分ではどうすることも出来ず、自分に姉がいたことをお母さんドラゴンから聞いたことがあったため、その姉を探す旅にでた。
お姉さんドラゴンなら、かならず協力してくれるに違いないし、よい知恵や高い能力で、きっと母親を奪還してくれるだろう。
と、ここまでロロ君の話しを聞いて、あたしはメイアの育て方を間違ってしまったのかと悩み始めた。
だって、メイアはロロ君みたいにしっかりしていないし、今だってロロ君の話しは鼻ホジ状態で聞いてたし・・・
でも、そういうことならあたしもメイアの母親だし、ここはロロ君に協力してあげようと思う。
ねぇ、みんなもロロ君に力を貸してあげてくれるかな?
あたしが、みんなを見回すと全員が笑顔で首を横に振っている。
あれっ? あれれ? みんなどうしたのよ?
だって、いま温泉施設とプールを造っている途中ですよ! そっちまで手がまわりません。
いやいや、温泉関係は中断すればいいでしょ。
むちゃな事を言わないでください。 国民にオープンする日を大々的に宣伝したのは、セレネさんですよね!
あぅ・・ ずびばぜん・・・ ずっかり忘れてました。
それに、ちょうどコンクリを流し込んでいる最中なので、もしここで中断でもしたら取り返しがつきません。
ゴハッ
いや、セレネさん。 吐血したふりをしてもダメなものはダメです。
ちょっと、みんな・・・ そんなの薄情過ぎない?
・・・
わ、わかったわよ! もうみんなには頼まないんだから!
ロロ君は、お姉さんが手伝ってあげるから心配しないでね。
ブブッ セレネってば経産婦のくせにお姉さんはないわ~。
ゴハッ
セレネが2度吐血したので、次回へ続く・・・
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