第325話 ◆男の子の正体
◆男の子の正体
あたしとメイアがクレープを食べながらお城に帰る道で、飛び出して来た小さな男の子がメイアにぶつかってしまった。
そして、その男の子がメイアを見て、お姉ちゃんと叫んだのだ。
これっていったいどういう事なの?
メイアって姉弟とかいたっけ?
知らない~
それじゃ、この男の子は?
知らないけど、匂い同じ。 この子はドラゴン。
へぇー 人間の姿になってるメイア以外のドラゴンって初めて見たよー。
で、僕は何てお名前かなー?
ロロだよ!
ロロ君かあ。 よいお名前だね。
ロロ君は、こっちのお姉ちゃんのことを知っているの?
うん、知ってるよ。 だって、僕のお姉ちゃんだもの。
だってよ。 メイアさん。 もう一度聞くけどメイアは本当に知らないんだよね?
知らな~い
ロロ君、やっぱり誰か他のお姉さんと間違ってるんじゃないの?
違う、僕間違ってない!
そう叫ぶとロロ君は、また来た方の路地に駆けて行ってしまった。
あたしとメイアは顔を見合わせてから、二人して同じように首を傾げた。
・・・
次の日の夜、メイアがいつも寝ている部屋がある塔の上を一匹のドラゴンが音もなく飛んでいた。
だがもちろん、メイアもあたしも気づいている。
どう考えても昨日のロロ君に違い無い。
でも、いったいどうしてメイアのことをお姉ちゃんと呼ぶのだろう。
メイアに聞いた話では、ドラゴンが母親と一緒に暮らすのは生まれてから1年ほどらしい。
これは、あたしが知っている熊の親子なんかの場合もそうだ。
動物は一人で食べて行けるようになれば自然と親離れするものだ。
それに比べると人間が一人で食べて行けるようになるのは、随分と長い年月が必要なんだなあと思う。
それで、あたしは一つの可能性として、メイアが親離れした後にロロ君が同じお母さんドラゴンから生まれたのではないかと考えた。
もちろんメイアは、そんなことは知らない。
だけど、ロロ君はお母さんからお姉ちゃん(メイア)がいることを聞かされて知っている。
だから、ロロ君はお姉ちゃん(メイア)に会いに来たのではないだろうか。
あたしが、考えたことを声に出しながら整理していたら、隣でメイアがフンフンと頷きながら聞いていた。
ねっ? いまの推理でどう、メイア?
いいかも~
でしょ、でしょ。
じゃあさ、さっそくロロ君を呼んで聞いてみようよ。
そうする~
・・・
メイアは部屋のまどからピョンと表に飛び出すとそのまま落ちて行った。
落下する途中でボンッとドラゴンの姿に変化すると大きな翼で数回羽ばたき、塔の上を旋回しているロロ君のもとに近づいて行った。
メイアとロロは、塔の上でじゃれ合うように何回か体をぶつけると、メイアの部屋に向かって一直線に飛び込んで来た。
ままま・・・待ちなさーーーい! そのまま突っ込んできちゃ ダメーーーーッ!
その大きさじゃ絶対にムリーーーーーッ!
あたしは両手で顔を覆い、ベッドの後ろにダイブした。
・・・
あれっ? どうなってるの?
なんと二人は、窓に飛び込む直前に人間の姿に変化してたのだ。
ふぅー 少しちびっちゃたかも。
セレネ、連れて来た~
うん うん メイア、あたしだって見れば分かるよー。
ロロ君がきょとん顔で、あたしとメイアを見ているので、さっきあたしが推理した内容をロロ君に説明したらビンゴだった。
ふ~ん、やっぱり姉弟だったんだねー。
で、こっからなんだけどロロ君は、ただお姉ちゃんに会いに来ただけじゃないよね?
ロロ君はあたしの問いかけに、黙って小さく頷いた。
さて、ロロ君はどうしてメイアに会いに来たのか・・・ それは次回に続く~
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