第322話 ◆さ迷える子ブタよ
◆さ迷える子ブタよ
こっちの世界では、イベントが少ない。 永遠の女子高生のあたしとしては、毎月がなんだか盛り上がりに欠けるのだ。
そして、思った。 どうせなら、向こうの世界のおいしいイベントをこっちでも流行らしてしまえ!
そして、近頃では家族のこと以外は、けっこう記憶が戻って来ているので、月別のイベントを整理してみる。
1月:お正月・初詣(神社が無いよー)、新年会、成人の日(成人の定義が曖昧だよー)
2月:節分(鬼が居ないよー でも魔物はいるぞ)、バレンタイン
3月:ひなまつり(お雛様が無いよー)
4月:お花見、入学式(学校が無いよー)
5月:子どもの日(こいのぼりが無いよー)
6月:こっちは梅雨がないよー
7月:七夕(織姫、彦星が無いよー)、花火大会、海開き・山開き(海も山も魔物が出るよー)
8月:夏祭り、お盆(お墓が無いよー)
9月:お月見(こっちの月はデカすぎるよー)
10月:運動会(学校が無いよー)
11月:文化祭(学校が無いよー)、七五三(神社が無いよー)
12月:クリスマス(イエス様がいないよー)、忘年会(神社が無いよー)
こ・・これは・・ あたしは、その場にガクリと膝をついた。 (ここから少しパロってます)
ダメだ・・ 逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ ...
神社と学校が無いだけで主要行事のほとんどが・・・ くっ、 イベントのためだけに両方を一から造るなんて無理!
向こうの世界のイベントを無理にこの国に広める必要なんかないわ!
そう心の中で自分に納得させようとするけど、なんだか涙が出て来た。
これが涙? 泣いているのはあたし・・・
ごめんなさい、こういう時、どんな顔すればいいのか、分からないの。
ちょっと、セレネってば。 さっきからひとりで何やってるの? キモイわよ!
ぐっ しまった。 厄介なやつに一人芝居を見られてしまった。
どうして、こいつはいつも微妙なタイミングを逃さずに出てくるのだろうか。
(実は、アリシアはセレネ大好きなんですね~)
で、今回は何がしたいのかしら?
あーーー そうだ。 アリシアってさ、エルフの里にいたときって、毎日何してたの?
なによ、普通に生活してたわよ!
あたしが聞きたいのは、その普通の生活の中でも特別な日よ。 と・く・べ・つ!
誕生日とか?
じゃな~い!
うんもぉ~ だったら何なの?
個人の特別な日じゃなくて、例えばみんなで何か一緒の事をする日っていうか・・・
あーーー ママが精霊に御祈りを捧げる日とかは里の全員が集まったわね。
いや、もういいや。 お前、あっち行ってろ!
キィーーッ 何よ、セレネのバーーカッ イーーーダッ
あ゛ー いかん いかん また余計な事を言って怒らせてしまった。
アリシアは、あたしより10歳年下だけど、下手をするとあたしより頭がいいかもしれない。 ←下手をしなくてもいいですけどね~
なまじっか頭が回るから苛めたくなっちゃうのかもなあ・・・ あたしは反省して、後できちんと謝ることにした。
セレネさま、アリシアさんがプンスカ怒ってましたけど、また何かしたんですか?
アリシアと入れ違いにサリエルがやって来た。
あちゃー また面倒なやつがキターーー!
えーと サリエルには関係ないでしょ。 いま、反省したんで、あとで謝りに行くことにしたし。
それならば、先にあたくしに懺悔すると心が晴れやかになり、清い心でアリシアさんに謝罪ができますよ。
さあ、迷える子ブタよ、あたくしの前に跪くのです。 そして、懺悔なさい!
てめーーっ! サリエル、今のはわざとだろ!
あっ、あたくしとしたことが・・・ 子ブタじゃなくて子カバでしたっけ?
くっ はぁーーー! 今日からダイエット再開します。 もう3日坊主にならないよう頑張りますから子羊と呼んでくだひゃい!
よくよく考えたら、サリエルは天使なので、悪意を持って人を嘲(あざける)ようなことは絶対にしない。
なんだ、普通に間違えただけか・・・ でも何だか、モヤモヤするなあ・・・
はっ! そうか・・・ くそっ! 懺悔なんか絶対しないから、あっちに行ってけいちゃんと遊んでろや!
あーーもう、何しようとしてたか忘れちゃったよ・・・
セレネがボケて来たので、次回へ続く・・・
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