第320話 ◆温泉を造ろう!  その1

◆温泉を造ろう!  その1


大好物のうなぎを調子に乗ってバクバク食べていたら、体重計に乗るのが怖くなった。


もう最後の手段として、料理人をコリン君からゲロマズ飯のメイアさんにチェンジするしかないかも知れない。



一方、かば焼きを食べていないのに、けいちゃんはすくすく成長して、もうお城の中を駆けまわっている。


育児はサリエルが自分がやると言ってきかないので、お願いはしているのだけれど、母親としてはもっと触れ合いたい。


それに同じ天使の輪があるからか、最近けいちゃんはサリエルにべったりなので、ちょっぴり悔しい。


もう、おっぱいをあげるからこっちにおいで作戦も通用しないので、なにか新しい策を考えないといけないだろう。


・・・


巨大蟻対策としてみんなで造った石の家は、2年の歳月をかけてお城に改築した。


と言っても前からあった建物を改築したのはほんの少しで、あとは整地しながら増築していった。


あたし達のお城は、まりあ先輩のお城のように立派ではないけれど、それなりに体裁は保てている。



ヴォルルさんは、もっと大きいお城にしたらと言うけど、使わない部屋をたくさん作っても仕方がない。


まだまだ、他にたくさん整備しなければならない、公共の建物がいっぱいあるのだ。



あたしたちの中で土木工事や建築関係に関しては、設計がコリン君でメイアが施工に長けている。


そして今回は移住してきてくれた人々のために、温泉施設と流れるプール(冬季は温泉プール)を造ることにした。


移民で渡ってくる人たちは比較的若い世代が多く、小さな子どもも大勢いる。


川や海もきれいなのだが、万が一魔物や巨大な生き物に襲われる可能性がないわけではない。


大人も子どももみんなが安心して楽しめる施設にするのだ。


・・・


あたしは学校の友達と行ったことがある、箱根にあった小〇園ユネ〇サンを思い出し、イメージ図を描いてコリン君にみせた。


セレネさん、これいいです。  すごく面白そう。  これなら大人も子どももいっぱい楽しめますね。


コリン君、それで温泉なんだけどいい候補地があるかな~?


う~ん、そうですね~・・・


それなりの湯量を確保するとなると結構遠くになってしまいますね~。


そんなに遠いんじゃ、子どもたちだけじゃ行けないねぇ・・・


おとなの人でも何泊もしなければならないとなると利用する人は限られてしまいますね。


う~ん 計画はさっそく頓挫かぁ・・・



あたしとコリン君が、暗い顔をしていると、


ちょっと、セレネもコリンもバカなの?


と後ろからアリシアの声がした。



ありゃあ アリシアいつの間に?


それに、いきなりバカ呼ばわりですよ。  コリン君が、またかよみたいな顔をしている。


ふんっ だってバカなんですもの。

いい、よく聞きなさい!  近くに温泉が無ければ、掘ればいいのよ!  掘れば!


温泉を・・ 掘る?


あたしも二人も強力な魔法が使えるじゃない!  それを使って地面に大きな穴を開けるのよ。


そっか、いいね!


ダメです!!


コリン君が珍しく大声を出す。



ちょっと、コリンってば、やっぱりバカだったのね。  どうしてダメなのか言ってごらんなさいよ。

あたしの頭があまりに良すぎて、嫉妬ですかぁ?


いや、いいですか、もしもマグマ溜まりなんかを間違ってブチ破ってしまったら、首都は全滅ですよ。


ひゃ~ あっぶなっ!  そんな危険を伴うものなだったのかーー。  



それなら大丈夫よ!  もしもそうなったら叔母さまに抑え込んでもらうから。  ねっ、叔母様?


そうね、あたしなら火山の一つや二つ、なんてことないわ。


ヴォ、ヴォルルさんまで、いつの間に・・・



あらあら、セレネちゃんやニーナちゃんと温泉に入れるなら、あたしも全力でお手伝いするわよ~。


ゾワゾワッ  ゾゾーーー




さてさて、はたして首都が消滅しないで温泉施設が出来るのでしょうか・・・  次回をお楽しみに~♪

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