第319話 ◆うな重二段重ね

◆うな重二段重ね


汽水湖でうなぎを釣っていたら、予想外にたくさん釣れたので、残った分は生きたままお城に持って帰ることにした。


コリン君はもう、帰ったらどんなうなぎ料理を作ろうか、あれこれ考えているようだ。


なのであたしは、うな重二段重ねをリクエストした。  やっぱり、あたしはうな重が一番おいしいと思う。



あの汽水湖は、うなぎがたくさん獲れることがわかったので、人々の栄養を考えてうなぎが食卓に並ぶように産地から首都までの物流を整備することにした。


物流整備といっても南北を結ぶ道路の整備が9割方だ。 あとは観光地や避暑地にもなりそうなので、宿屋も作ることにした。


それに国として汽水湖周辺に開発の手を入れれば、隣国も迂闊に国境を越えることはできないだろう。



そんなことをキャンプの夜に話していたら、リアムとコリン君が、それはセレネさんが食べたいだけじゃないのと揶揄された。


半分当たっていたから、ぐぬぬぬ状態で拗ねてやったら、二人が即効で謝ってきた。


それでも、あたしはお城に帰るまで、口をきいてあげなかった。


この二人には、乙女に言っていい事と悪い事を分からせておく必要がある。


・・・


お城に帰ったあたしは、アンディに’もにゅぱ~’を汽水湖で発見したことを手紙にしたため、定期航路便で送った。


これであの変な鳥が人に懐けば、飛行船のエンジンの問題も解決できるだろう。


お城ではコリン君があたしへの罪滅ぼしなのか、帰って早々にうな重を作ってくれた。


お城中にうなぎのかば焼きのいい匂いが溢れて、すかさずメイアがすっ飛んできた。


そのあとすぐに、アリシアやヴォルルさん1/10、シルフ、ニーナなど全員がやってきたので、改めてかば焼きの魅力に感心した。


あたしは、やっぱりかば焼きの匂いだけでも、白飯が5杯は食べられるかも知れないなあとも思った。


・・・


メイアが、うなぎのかば焼きをえらく気に入ってしまった。


汽水湖から持って帰った、うなぎが無くなってしまうとひどくガッカリして元気がなくなってしまったので、汽水湖までのインフラ整備のことを話してあげた。


道路や宿屋が出来れば、毎日でもかば焼きが食べられるようになるから、楽しみにしててねと話してあげたら、道路は自分が作ると言い出した。


メイアはこの国の首都造りの際に、道路整備を担当したのでノウハウは持っている。


このところメイアはパワーを持て余し気味だったので、それじゃあとお願いしてみた。


道路整備が進んで、美味しいかば焼きがいっぱい食べられるなら、あたしも嬉しい限りだ。




開拓が進んでいるとはいえ、汽水湖までの道路整備は容易では無い。


当然メイア一人では出来ないので、後からやって来る開拓者の人達に優先して作業の応援をしてもらうことにした。


道路は山間部や大きな川などの工事難所が無かったため、半年という超短期間で開通することが出来た。


この道路が出来たことで、北部地域の開拓も急激に進み、国も人々の生活も益々豊かになって行ったのだった。



作者もうな重が食べたいけど、お金がないので次回へ続く・・・

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