第310話 ◆青年起業家のアンディ
◆青年起業家のアンディ
あたしが、この世界の移動手段の不便さを呟いたことで、アンディが興味深いアイデアを出して来た。
こっちの世界では飛行機を作る技術はないため、現在ある飛行船を改良するのとその欠点を補うことで実現する。
つまり、スピードアップと航続距離を伸ばせば良いのだ。
大量に荷物を運ぶのは、あっちの世界でも船舶がその役割を担っている。
だからまずは人の移動と軽量の荷物運搬だけにサービスを特化する。
スピードが命のものは、料金が高くてもサービスに見合えば利用するだろう。
新幹線があってもリニアモーターカーを走らせるのと同じだ。
では、アンディのアイデアと言うのが、どんなものかと言うと速度に関しては、翼竜を使うのだという。
メイアが手子摺ったあの翼竜だ。
こいつは確かに空を飛ぶ大型の生き物では、最速の部類だし数も多い。
その翼竜を飼いならして、飛行船のエンジン代わりに使うのだ。
そして航続距離の問題については、メガフロートを一定の間隔で海上に配置して中継基地に使うという。
飛行船の整備や翼竜の休憩、飛行船や船舶の食料と水の補給基地にもなる。
・・・
それで、まずはメガフロートの作り方はこうだ。
こっちの世界にはセコイアの木に似た巨木がたくさん生えている。
その中で高さ200m、直径5mを超えるものを組み合わせて巨大筏を作り、その上に管理棟を立てるのだ。
防水対策には松脂を利用すれば良い。
メガフロートには、倉庫も建てて食料や水も備蓄するし、翼竜の飼育棟も作る。
この程度の構造物なら造るのには時間がかからないし、材料費も只同然だ。
中継基地については、これで解決である。
つぎに飛行船のエンジンに使う翼竜だが、翼竜はアンジェリク女王の国に多く生息しているので、そこの卵を人工孵化させて飼いならし、各中継基地に置く。 まあちょっと見は、空母と戦闘機みたいな感じになる。
飛行船は、まりあ先輩の国に発注して作ってもらえばよいし、高速化の改良点はアンディが設計図を書けばOKだ。
まりあ先輩から借りた船の返却とこの飛行船の件については、ヴォルルさんたちが乗っているあたしの船と交換して、まりあ先輩の国の船員さんに託せばよいだろう。
ざっとこんな感じであたしは、アンディとこの世界で初となる航空会社の構想について纏めたのだった。
あとは、もう少しいろいろな事について詳細に検討し企画書を作って実行に移せばよい。
また実際の運用に必要な人を雇ったりするのには資金が必要になるけど、それは自分も含め、投資家を募ればよいことだ。
正にこの日この時間が、青年起業家アンディCEO(chief executive officer)誕生の瞬間であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます