第301話 ◆天界との全面戦争勃発か?

◆天界との全面戦争勃発か?


神様、そこにいるのは分かっています!  姿を現してください!


ええっ!  神様って、あのリリーさん?


このリリーさんと呼ばれた神様は、あたしが金の鎖で体を拘束されていた時に付き纏って盗撮を繰り返し、ヴォルルさんにとっても酷いことをされて天界に逃げ帰った本人だ。


なんで、リリーさんがここに現れたのだろう?


これ、サリエル! 神の許可なく子を成すとは何事じゃ!


いや、神様。 子を産んだのは、連れ合いのセレネの方でございます。


それは、どちらでも同じこと!  その赤子は天界に連れ帰って、我々神々が育てることにする。


なんですって!  この子は、あたしの子どもです!  だれが変態神様なんかに渡ものですか!


あたしは、突然現れて無茶苦茶を言う神様に対し、怒りを爆発させる!


いくらそなたが騒いでも、天界の意向には従ってもらうぞ!


サリエル、その赤子を連れ、わたしと一緒に天界に戻るのだ。  よいな!


あ・・あぅ・・  か、神様、それだけは何卒お許しください。


サリエルは、このセレネの妻となり、天界との縁を絶った者にございます。


それは口だけのこと。 その証に、お前とその赤子の頭の上には、天の者をあらわす輪がついているではないか!


あっ・・ あああぁ・・ そんな・・・


サリエルよ。 その輪が頭上にあるうちは、お前は神には逆らえぬのだ。

さあ、赤子を連れて我とともに参るのじゃ!


そ、そんな事はさせないわっ!


黙れっ!


カッ


神様の目が光ると、あたしは体が固まって動けなくなってしまった。


サリエルが俯いたまま、あたしの赤ちゃんを胸にかかえ、神様とともにすぅっと消えて行った。


あたしは、ただそれを見ていることしか出来なかった。

あたしの赤ちゃんが、天界へ連れて行かれてしまった。


心に大きな穴が空いたようで、何も考えられないし、思うように体も動かない。

悲しいのに不思議と涙も出なかった。


神様とサリエルが消えて、しばらくして体が動くようになってからは、シルフたちが心配してずっと傍にいてくれた。


まる一日眠りもせず、ずっとベッドの上にじっと座っていた。

そして次の日の朝、あたしはすくっと立ち上がって、一言呟いた。


天界を絶対に滅ぼしてやる!

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