第283話 ◆神様の性癖
◆神様の性癖
気が付いたらリリーさんが縄でグルグル巻きにされて、あたしの目の前の床に転がっていた。
最初に見た時、顔がヴォルルさんとそっくりなので、一瞬どっちなのか分からなかったくらいだった。
で、既にヴォルルさんが取り調べを済ませていて、あたしにリリーさんの正体を教えてくれた。
なんと、リリーさんの正体は、天使サリエルが仕える神様だった。
ねぇ、ヴォルルさん、いいんですか?
セレネちゃん、なにが?
だって、この人って神様なんでしょ。 こんな扱いをしても大丈夫なんですか?
いいのよ。 だって神様っていうのは名前だけで、こいつは魔族とかエルフ族とかと同列なのよ。
???
そうねぇ・・・ リリーは分かり易く言うと神族っていうグループに属してる者で、神族の中でなら結構偉いポジってところかな。
だから、あたしの本体と比べたら、全然あたしの方がすごいのよね~。
はぁ・・ そうなんですか。
でも、どうしてその偉い人が、あたしの写真を?
それ、聞きたい?
え~と 一応聞いておきたいかな。
なんでも、そこに転がっている神様にヴォルルさんがとっても酷いことをして吐かせた内容は、とても信じがたいものだった。
神様が天使サリエルの追放期限が迫ってきたのでちょっと様子を見に来た時、偶然あたしがサリエルさんにKISSをしているところを目撃したそうなのだ。
それでサリエルさんが、あたしを天界に連れて行くと騒いで、あたしが逃げないように金の鎖で縛ったのがドストライクだったらしい。
この神様の性癖って・・・
そしてたまたま、ヴォルルさんの別荘で3か月ほど過ごすのを陰で知って、別荘に御供するメイドを縛り自分が成りすましたのだ。
そしてリリーと名乗ってあたしに近づき、あたしのエッチな写真を撮りまくっていたらしい。 鎖好きって・・・
ヴォルルさんの顔に瓜二だったのは、たまたまヴォルルさんを見て化けたためで、特に深い理由はなかったようだ。
一通り話しを聞かされて、あたしはドン引きだった。 こんな神様がいる世界へ連れて行かれるのは絶対にお断りだ。
ヴォルルさんもそこは察してくれていて、神様にあたしとサリエルのことは破談にするよう約束させてくれたらしい。
これで、この忌まわしい金の鎖からもやっと解放されるのだ。
あっ、そうだ。 ヴォルルさん、写真のネガは?
うふふ ほらっ、このとおり取り上げたわよ~。 ヴォルルさんは、取り上げたネガをひらひらさせて見せる。
あ~ よかった~。
あたしは、ヴォルルさんの前に両手を出して、ネガを渡してくれるようにアピールした。
あらあら、セレネちゃん。 これは、あたしの戦利品だから、あたしが貰っておくわ。
え、ええーーーっ!
ダメですよ。 ネガ返してください。 それじゃ、ネガを持ってるのがリリーさんからヴォルルさんに変わっただけじゃないですか!
あらあら。 それじゃあ、サリエルとの結婚をチャラにしてあげた、あたしへのご褒美ってことでどおかしらセレネちゃん。
いや・・それはやっぱり嫌なんですけど。
わかったわ、それじゃサリエルと結婚するってことね。 あとでそうリリーに訂正しておくわね。
ああっ、わ、わかりました。 ネガはヴォルルさんが持っていてください。
ホホホホッ
ちょっとセレネが可哀そうになってきたので、次回へ続く・・・
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