第281話 ◆リリーさんの正体

◆リリーさんの正体


こっそり地下室に行こうとしたところをリリーさんに見つかってしまったので、結局ネガを探しに行けなくなってしまった。


なのであたしは散歩をするふりだけして部屋に戻り、明日の朝早くにもう一度地下室へ忍び込むことにした。


もちろん散歩などはしたくないけどリリーさんに言ってしまったことなので仕方なしに玄関の扉を開けて外に出ると、当然灯りがないので辺りは真っ暗闇だった。



真っ暗な中、虫の声や蛙の鳴き声、それに時々動物の吠える声だけが聞こえて来る。


あたしは虫が大嫌いなので、玄関の近くの石の上に腰を下ろして時間をつぶすことにした。


何しろこっちの世界の虫の大きさったら、あたしにとっては気絶級だ。  絶対に遭遇したくない。


10分もしたら部屋に戻ればいいだろう。



そう考えていると


バキッ


と言う枯れ枝を踏んだような音が近くから聞こえた。



当然、虫の可能性が高いので反射的に身構える。


すると暗闇の中から白い影がゆらゆらと現れた。


ごくりっ


生唾を飲みながら、その白い影が何なのか見極めるため、それをじっと見つめる。



すると


あらあら、セレネちゃん。  こんなところで何をしているのかしら?


とヴォルルさんの声がした。



そう、白い影の正体はヴォルルさんだったのだ。



ヴォルルさんこそ何をしてるんですか?  あたし、超驚いたんですけど~。


セレネちゃん。 いい質問ね。  何でだと思う?



いや、そんなの分かりませんし!


そうよね。 実は、あたしの屋敷の物置の中から、ここに行くように言い付けたメイドが縛られた状態で見つかったのよ。


ええっ!  それってどういうことですか?


そう、それよ。 その謎を解き明かすために、ここに来たの。


えっ、ちょっと待ってください。  それじゃ、この別荘にいるメイドのリリーさんっていったいどこの誰なんですか?


さあ、いったい何者なんでしょうね。


なんだか凄く怖いです。  あたし、そのメイドさんに写真をいっぱい撮られたんですよ。 しかもほぼ盗撮です。


まぁ・・  ヴォルルさんは、大きくあけた口を掌で隠したが、目元がいやらしい感じで垂れている。


ヴォルルさん、いま絶対にその写真見てみたいって思ったでしょ!


ホホホ


セレネちゃんてば鋭いわね。


いやいや、いままでの経験から簡単に分かりますって。


それで、リリーさんの方はどうするんですか?


それはね。


ヴォルルさんが、あたしの耳元に顔を近づけて囁ささやいた。


ごにょ ごにょ ごにょ でしょ。  で、ごにょ ごにょ ごにゅっ でどうかしら?


ごにゅっ・・・  ですか?


そうよ!  ごにゅっよ。



よく分からないけど次回へ続く・・・

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