第264話 ◆真ん中の島 again
◆真ん中の島 again
平穏な航海が続き、あたしたちは再びヴァルルさんの島である真ん中の島に着くことができた。
約2年半ぶりに訪れた街並みは、懐かしい限りだ。
古くから栄えたこの島は良港に恵まれていたり、温暖な気候で農作物も豊富にとれるため、引退した船乗りたちが永住する地としても有名なのだ。
そして、この島はヴァルルさんが統治していた。
で、今はどうなっているのかというと、相変わらずヴォルルさんが統治している。
なんでかと言うと、サバイバルゲームを行った時に分身したヴォルルさんの一人がずっと後を守っているのだ。
分身したとは言え、その魔力は強大であり、おかげでこの島はヴォルルさんの本体が不在であっても平和を維持している。
ここは文字通り世界の真ん中に位置する島で、最初はどこの国もここを自分の国の傘下としようと争ったらしい。
でも、ヴォルルさんが一人で制圧してしまってからは、どこの国へも開かれて平和なこの島の事を奪おうとする国は二度と現れていないそうだ。
・・・
わあ、久しぶりに来たけど変わってないねぇ。
あたしは懐かしさもあって、さっそくヴォルルさんが住んでいたあの塔へ行ってみる。
おっと、今も分身したヴォルルさんが住んでるんだったっけ?。
こんにちは~ 分身したヴォルルさんいますかぁ?
あらあら、セレネさんもう着いたの。
はい。 途中で鯱しゃち2頭を借りれたので、トリプルエンジンで予定よりもだいぶ早く着きました。
あたしは、途中で人魚王国での出来事を伝書バトでヴォルルさん(本体)に伝えていたが、船のエンジンの事までは書いていなかった。
どうやら体が幾つかに分かれても、情報は一か所に集まるらしい。 なんて便利なんだろう。 あたしも修行を積めば出来るようになるのかな?
もし、そうだとしたら、やりたいことがたくさん同時に出来てとても便利だ。
ヴォルルおば様、お久しぶりです。
まあ、アリシア、元気にしてた?
はい、セレネお姉さまに良くしていただいて、とても楽しく過ごしていますわ。
・・・ そう、それなら良かったわ~。
ねえ、セレネさん。 アリシアの様子がなんだか変な感じがするけど何かあった?
アリシアが部屋から出て行った後、あたしはヴォルルさんに呼び止められて、アリシアのことを聞かれた。
さすがですね。 実はこんなことがありまして・・・
あたしは、アリシアが頭を2度強打して2日ほど意識がなかった話しと意識が戻ってからの事をヴォルルさんに説明した。
まあ、そんなことが。
それで、一刻も早くララノアさんの所へ向かおうと思っているんです。
そうなの、それは残念だわ。 ここで、ゆっくりして行ってもらおうと思ってたのよ。
ほら、前に一緒にサバイバルゲームしたでしょ。 楽しかったから、ぜひもう一度誘おうと思ってたの。
・・・ いやいや、楽しくなかったし! ←心の声
それは残念ですけど今回は先を急ぐ旅ですし、2日後には出航する予定なんです。
そうね、アリシアもあの状態なら、仕方がないわね。
そうそう、泊まるところが決まってなければ、ぜひこの家を使ってね。
いいんですか。 ありがとうございます。 お言葉に甘えさせていただきます。
そうと決まったら、夕食の支度をしなくっちゃね。
あっ、だったら あたしたちもお手伝いします。
あら、いいわよ。 せっかくこの島に寄ってくれたのだから、島をゆっくり見て自然に癒されて来なさいな。
料理は、あたしとメイドに任せてネッ。
はい。
この後、ある事件に巻き込まれて癒されるどころではなくなるのだが、いまのセレネ達には知る由もなかったのだった。
次回へ続く・・・
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