第265話 ◆黒いもの
◆黒いもの
島に滞在している間、ヴォルルさんの家に泊めてもらえることになった。
しかもラッキーなことに、なんと食事つきなのだ。
シルフとメイアがいると何かと問題が多いのでレストランとか入りにくい。
メイアは、もの凄く大食いだし、シルフは少だけど好き嫌いが多く食べられるものが限られる。
その点、ヴォルルさんは一緒に旅をしたので、その辺はご本体?の方から分身ヴォルルさんにも情報が伝わっている。
とはいっても、お世話になりっぱなしと言うのも気が引けるので、何かしたいと思っている。
メイドさんがいるし、家事手伝いはやることがなさそうなので、いろいろ考えてみる。
メイア、一緒にデザートでもつくってみる?
やらない~
そっか・・・ メイアは、お魚がもらえるから人魚の国へ残ったらとからかったので、まだ拗ねている。
どうもあたしは、みんなから指摘されるように一言多いらしい。
デザートじゃないとしたら・・・ そうだ、ヴォルルさんはワインが好きだから、ワインに合うおつまみとか探してみようかな。
シルフどう思う?
それでいい。
そっか、じゃあ早速探してみよう。
あたしたちは港に面した通りを覗きながら、ぶらぶら歩いてみることにした。
ついでに途中の屋台でメイアに何か食べさせて、機嫌を直してもらおう。
ワインにあうおつまみって、どんなのがあるんだろう?
こんな時、向こうの世界ならネットでググれば直ぐにヒットするのになあと思ったけど、こうして考えたり悩むのも案外いいものだ。
まずは、ヴォルルさん(本体の方)がワインと一緒に食べていたものを思い出してみる。
う~ん まずはチーズでしょ。 あとは・・生ハムとか。
ローストビーフやスモークサーモン? ナッツは必須かな。
あとは・・・ う~ん サラミとか魚のマリネでしょ・・・
いろいろ食べ物の名前を連呼してたら、メイアが涎を垂らしていたので、ハカチで拭いてあげる。
メイアなんか食べたい?
んっ たべる~
確かこの先にお魚屋さんがあったよね。 まだ店頭で魚を焼いてたら買ってあげるからね。
そう言うとメイアが反応してダッとお店めがけて駆けて行ってしまった。
待ってよ、メイアーー! もうパブロフの犬かよ!
メイアは本当にカワイイ。
あたしは先の方を駆けていくメイアを目で追いながらニコニコ笑って見ていたのだが、路地から急にメイア目掛けて真っ黒な塊が飛び出して来た。
あっ、危ない!
あたしが叫んだのと同時に、その黒い塊がメイアの喉元に鋭い牙を剥くのが見えた。
きゃーーっ メイアーー!
あたしは大慌てで、その黒い塊目掛けて駆けだしたのだった。
次回へ続く・・・
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