第251話 ◆開拓進む
◆開拓進む
開拓地の話しがどう伝わったのかは不明だが、エリージャ伯爵のメイド長フネットさんの従妹さんたちが一番乗りでセレネ王国にやって来た。
従妹さん達は、コリニカ、デンナル、シュミテクタ、ミュオーラの4人だ。
あたしは、以前からフネットさんやサステマさんの名前でモヤモヤしていたけど、今回そのモヤモヤの気持ちが新たに沸き上がっていた。
向こうの世界に居た時に何か聞いたような名前なんだけど思い出せない。
まぁ、そのうち急に思い出すかも知れない。
で、この従妹さんたちは、とても優秀な人たちだった。
コリニカさんがお医者さん、デンナルさんがパン職人さんだった。
そしてシュミテクタさんは精肉店、ミュオーラさんは鮮魚店をエリージャ伯爵領で営んでいた。
これなら人口が増えて来た時に、それぞれのスキルを活かして大活躍してもらえる。
しばらくしてから、ニーナとメイアがメイドをしていた喫茶店のマスターもこの開拓地にやってきた。
あたし達が居なくなってから喫茶店のお客が激減してしまい、ついにお店をやめたのだそうだ。
そして、偶然ニーナを見かけ、この開拓地のことを聞いたらしい。
これでマスターの美味しいコーヒーがまた飲めるので、あたしとっては嬉しい限りだ。
それからしばらくして、なんとエイミーとリアムとその子供たちがやってきた。
あたしが、まりあ先輩の国に親書を送って国交を結んだため、その大使として派遣されてきたのだ。
あたしは、既に建てた建物の一つを大使館兼住居として提供した。
これで、まりあ先輩の国から移民としてやってくる人たちも増えて行くことだろう。
あたし達は、移民を受け入れるために、どんどん家を建てた。
商業地にはお店を、住宅地には可愛い家を沢山建てた。
こうして、移民の人たちを受け入れる準備も万全に整っていったのだった。
それから一か月が経ち、待ちに待った移民船が到着した。
なんと、200人近い人が船に乗っていた。
さっそく、役所で手続きをして住む家を割り当てる。
役所の所長はコリン君に兼務してもらった。 アリシアとメイアにもお手伝いをしてもらったけど結構たいへんだった。
商売をしたい人や農業(開墾)希望者など、やりたい事を聞きながら台帳に登録していく。
セレネ王国の通貨は、大半の国で使われているミリカなので混乱はない。
当面は移民の人達専用のショッピングセンターを設けたので、商店が開くまでの間は、そこを利用してもらうことにした。
やることがたくさんあって、メンバーからは嬉しい悲鳴があがる。
生活物資を乗せた船も何隻か着き、港も活気であふれた。
これなら港の整備や旅館の建設なども必要になりそうだ。
・・・
その後も移民は増え、さらにこの土地には魔物が極端に少ないとの評判で、セレネ王国への移民を目指す人も多くなっていった。
そして、1年があっという間に過ぎ、この土地で収穫した農産物も商店の店先に並ぶようになった。
温暖な気候や穏やかな海流で果物や海の幸にも恵まれた。
だれしもが、このままの繁栄が続くものだと思っていた。 あんなことが起こるまでは・・・
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