第246話 ◆妖精の国 その3

◆妖精の国 その3


ちょっとセレネ、あれを見て!


アリシアがゆびを指した方へ振り返ると、なんとシルフが妖精の群れに囲まれているではないか。


いったいあの妖精たちは、どこから湧いて来たのだろう。


ざっと見た限りでは、二千から三千の間くらいはいる。


それが帯状になって、シルフの周りを飛んでいるのだ。


やがてそれは輪になって、ゆっくりシルフの周りを回り出した。



アリシア、メイア とりあえずシルフの所に行こう!


シルフがいるところまでは、200mくらいあるだろう。


ここから見ている限りでは、攻撃されそうな気配は感じられないが、ぶん投げた本人としてはとても心配だ。



道のない花畑を駆けて行くため、スピードが出ない。


そうこうしているうちに、妖精の輪の回転スピードがどんどん速くなっていく。



セレネ。 あれ、やばいんじゃない!!


アリシア、あたしもそう思う!  ど、どうしよう。


そしてやっと50mの距離まで近づいたころには、輪のスピードが速すぎて黒い帯のようにしか見えない。



回転のスピードによって巻き起こる風で、もはや立っていられない。


ゴォォーーーー


嵐のようなもの凄い風の音が響き渡ったと思ったら、妖精たちもシルフも一瞬で目の前から消えてしまった。



セレネ、ど、どうしよう・・・


う~ん  まさかこういう事態になるとはね・・・




実は、あたしとシルフとニーナは不思議な力で結ばれているらしい。


それは、たいしたことではないが、お互いの体と心の状態がぼんやりと分かるのだ。


魔王討伐作戦でニーナが行方不明になった時は、シルフがニーナは無事だと言い切った。


今回は、あたしがシルフの現在の状態をぼんやりとだが感じられるのだ。


シルフのそれに恐怖心は無いことが伝わってくる。



アリシア、シルフはきっと大丈夫だよ。


どうしてそんなことがわかるのよ!


しいて言うなら夫婦だからかな・・


何それ! セレネってば、まったくいい加減なんだから!



ここでじっとしてても仕方が無いわね。  探検も兼ねてシルフを探しましょっ!


メイア、シルフの匂いを辿れる?


まかせろ~



こうして、あたしとドラゴンとハーフエルフの女の子は、シルフの探索に取り掛かったのだった。



次回へ続く・・・

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