第243話 ◆輝く天井
◆輝く天井
次の日の朝、早起きをしてみんなで久しぶりにラジオ体操をした。
これは、あたしが一人でラジオ体操をしていたら、みんなが「その面白い動きは何だ」と寄って来たので、教えてあげたものだ。
結構な人気で一時期は全員でやっていたのだが、ここ二ヶ月ほどは人の数が少ないのでパスしていた。
ラジオ体操の曲が流れないので、口でチャンチャラ言っていたのも受けたようだ。
体もほぐれたので、軽く食事を済ませて洞窟調査にかかることにする。
洞窟に入るのでメイアはコンパクトな幼女姿に変化している。
シルフもあたしと会うのが久しぶりなので、いつもの定位置に潜り込んで来た。
それを見てメイアは右手、アリシアは左手を握って来た。 おいおい、あたしはこいつら全員のお母さんかよ!
洞窟は入口からなだらかな下り坂が続く。
奥からは風が吹いてくるので酸欠の心配はなさそうだし、松明たいまつを持っているので、万が一松明が消えそうになったら引き返せばいい。
ずいぶん奥が深そうな洞窟だねぇ・・・
先が真っ暗で何も見えないじゃない。 お昼ご飯までには戻れるかしら?
アリシアのその言葉を聞いて、長い調査生活で楽しみが食べることしかなかったのは、可哀そうだったかなと思った。
真っ暗な中、更に奥へと進んで行くと洞窟がほぼ直角に曲がっている場所に出た。
そこを曲がると、奥の方がぼやっと明るい。
出口かな?
あたしが先に行ってみてくる。
あっ、アリシア 一人で行ったら危ないよ!
平気よ。 セレネったら、あたしを誰だと思っているの! ママはララノア、叔母はヴォルルよ!
うへぇ、それは確かに二人なら大丈夫かもね~。 でも、あんたはアリシアだから!
ちょっ、待ちなさいてっば。
あたしの制止をまったく聞かず、アリシアはどんどん先へ行ってしまった。
と・・思ったら、もの凄い勢いで戻って来た。
セレネ、天井が光ってる。 すっごく綺麗なの。 こっちよ、早く早く。
わわわっ アリシアそんなに引っ張らないで!
あぶないってってば。
あっ!
ズシャーーー
あたしは足元の石に躓いて、見事にヘッドスライディングしてしまった。
うっ・・・ イテテ・・
みてみて、セレネ。 ほらっ!
ゴギギギィ
ギャーー 痛い 痛いってば!
アリシアのやつ、うつ伏せになって転んだあたしの首を無理やり掴んで上を向かせやがった。
うわーーー ほんどだーーー (ほんとだーーー と言っている)
ぎれーーー (もちろん綺麗と言っている)
でしょ、でしょ。
見上げたそこには、まるで黄金で覆われたような天井が奥へ向かって続いていた。
しかも、それは自ら発行しているようだ。
ジッ
ここは十分に明るい。 あたしは、転んだまま握っていた松明を魔力の力で消した。
次回に続く・・・
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