第244話 ◆妖精の国 その1
◆妖精の国 その1
さらに洞窟を進んでいくと、奥の出口らしき場所から眩い光が差し込んでいるではないか。
これはいよいよ、ほんとうの出口らしい。
ほらっ アリシア調査隊長、もう直ぐ外にでるよ。
アリシアは、隊長という言葉の響きが気に入ったようで、にんまり笑ってこっちを振り返った。
気持ち悪いよ、アリシア・・・ ←心の声デス
せえーーのっ で出口を抜けると・・・
何? これ?
アリシアが不思議そうにあたしを見て言った。
そう、外に出るのかと思ったが、そこはもの凄く大きな地下空間だったのだ。
そこには青空は無く、天井は黄金色に光輝いていた。
辺り一面には、見たことが無いような花が咲き乱れ、まるで天国にいるみたいだ。
真ん中には、きれいな川が流れている。
その川の中には、大小の紫や淡いピンクの水晶が一面に転がっていた。
そして、群れ咲く花々の上では、蝶の代わりにシルフと同じような妖精がたくさん飛んでいた。
ここは・・・ シルフ、もしかして妖精の国なの?
シルフは、あたしの胸の谷間の間から顔だけ出して、ひらひら舞う妖精たちを見つめているが、何も言葉を発しない。
ねぇ、セレネ。 こっからどうするの?
ええっ! ど・・ そう言うアリシアはどうしようと思ってるの?
何よ! どうしていいか分からないからセレネに聞いたんじゃない!
ですよね~。 あたしも分かんないよ~。
セレネ道が無い。
ほんとだ。 メイアに言われるまで気がつかなかった。
まてよ・・・ ってことは、人や獣けものは、ここには居ないってことだよ。
なんで?
此処に人が居れば道は必ずできるし、動物の場合も獣道が出来る。
ましてや魔物ならデカい足跡が残るはずよ。
シルフ、あなたなら言葉が通じるかも知れない。 あそこに何人かいるから、コンタクトしてみたらどう?
それを聞いてシルフは、首をフルフル振って、服の中に潜ってしまった。
そうだった。 シルフは、人見知り&引っ込み思案だった。
う~ん。 困ったな、これじゃ調査になりません。 アリシア調査隊長殿、ご指示をお願いします!
あたしは、アリシアに無茶振りをした。
アリシアの肩が小刻みに震えている。
おっ? これは、どうでてくるのか楽しみだぞ。 ニヤニヤ
ふふふっ 良く言ってくれた、セレネ二等兵。
えーーーっ 選りによってあたしは最下級なのーーー。 ←心の叫び
その如何わしいい二つの山の間に隠れているシルフを掴んで、あの妖精の群れの中にブン投げなさい!
アリシアはあたしの方に人指しゆびをビシッと向けて言い放った。
ブハッーーー 隊長殿、本当にいいんですね? あたし、やりますよ!
あっ、 ちょっ 冗談・・・ あーーーーーっ!!
アリシアの言葉が終わらないうちに、あたしは素早く命令を行動に移した。
ムギュッ テェイッ
ピュゥーーー
シルフは不意を突かれたためか、なされるがまま妖精の群れに向かって慣性の法則どおり勢いよく飛んで行った。
次回へ続く・・・
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