第241話 ◆エイミー達も呼ぼうかな

◆エイミー達も呼ぼうかな


アリシアが旅立ってから一月が経った。


たまに連絡用の伝書鳩が飛んで来るので、何とか元気に調査をしているようだ。


もっとも伝書鳩が届けてくる手紙は、「お腹が空いた」とか「コリン君が作ったお菓子を送って」とか調査に全く関係のない物が多い。



開拓は順調に進み、町の中心地になる場所には、直ぐに役所とか病院とかに利用出来る建物を幾つか建てた。


あとは、開拓をしてくれる移民の人たちが来てくれれば、自然と発展していくだろう。



問題なのは、どうやって移民の人たちに来てもらうかだ。


この大陸は他の大陸と違って、まだ未開の部分が多いし人口も超少ない。


よって、他の大陸から船に乗って移民してもらう必要があるのだ。



あたしは考えに考えて、移民募集使節団を他の大陸に派遣することにした。


使節団と言っても、ヴォルルさんとニーナの二人だけだけど・・・


二人には、ニーナの能力で瞬間移動を繰り返し、今まで旅をして来た地で開拓者を募って回り、人が集まれば船をチャーターして連れて来てもらうのだ。


もちろんエイミーたちにも是非来てもらいたいところだが、リアムは、まりあ先輩の親衛隊だったし難しいかも知れない。


でも、ニーナも二人と一緒に旅をしたり魔物と戦ったりした仲なので、必ず声をかけてもらうようにお願いした。


ついでと言っては怒られてしまうけど、まりあ先輩にも移民のお願いの手紙を書いた。



ヴォルルさんとニーナが各国を回っている間、二人の担当だった仕事をカバーするのは大変だ。


いま、こっちにいるメンバーは、あたしとコリン君、メイアだけなのだから。


必要な建物の建築などは一通り終わっていたので、広大な畑の管理はインフラ主担当だったコリン君に引き継いでもらった。


メイアも担当した道路や上下水道の整備も8割方が終わっているので、なんとかなるはずだ。


で、あたしは水田作りを担当する。 後はヴォルルさんのブドウ畑の手入れも頼まれているので、結構忙しい。



ヴォルルさんとニーナには、こちらでまだ生産できない物資の調達もお願いした。


何れはこの土地でも作れるようにしていきたいけれど、交易のことを考えれば全てを作る必要はない。


この土地ならではの物を多く生産して、交易を活発に行えば船や人も自然と集まってくる。


今は、この土地で作ったものの中で、何がベストに成り得るかをいろいろ試す期間なのだ。


あたしは、10年後の目の前の景色を想像して、決意を新たにしたのだった。 


次回に続く・・・


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