第227話 ◆ブ~ラが飛ぶ、そ~らを飛ぶ、雲を突き抜け星になる

◆ブ~ラが飛ぶ、そ~らを飛ぶ、雲を突き抜け星になる


日本で最後まで残っていた八●島のウォーターシュートという伝説の遊器具が幕を閉じたのが2005年。


だから、あたしはその怖さを知らなかった。


しかもここは異世界。 人類とは住んでいる者達の身体レベルが圧倒的に違う。


近くまで行けば、なんとウォーターシュートの高さは、100mを超えていた。


アリシア、やっぱり止めよう。


なに? 怖気づいたのセレネ?


そうじゃないけど、ちょっと高いかな~なんて・・・


あらあら、膝をガクガクしながら言われてもねぇ・・・


そう言うアリシアだって顔が青いじゃん。


これはさっきまで泳いでたからよ!  ここで止めたらセレネの負けだからね。


くそ~ こんなのに負けたくないぞ!  よしっ、やってやろーじゃないの!


先に滑るのはどっちかはジャンケンで決めよう。


せ~の 最初はグー ジャンケン ポンッ!  あいこでしょ!  


よし、アリシアが先ね。


そ、そんな・・ なんであたしなの・・・


はいはい、グズグズしてない。  いっきに昇るよ。


・・・


こ、怖い・・・  なにこれ?  なんで梯子なの・・  ちょっ、100mの梯子を昇るなんて怖すぎるーーーー!


アリシア、下を見たらダメよ!


もう、ムリムリ、そんなこと今更言っても見ちゃったわよ。


アリシアの青かった顔がさらに青くなっているような気がする。


わはっは 棄権するならこの時点でアリシアはあたしの奴隷じゃ~!


そ、それだけは絶対にいやよ!


実はあたしも超怖かった、 なので何とかアリシアを先にギブアップさせたかったのだけど、とうとうテッペンまで来てしまった。


ぬわぁーー


ウォーターシュートの上から下を見下ろせば、滑るというよりは真っ逆さまに落ちるという表現が正しいと思うほど真っ直ぐな落下だ。


万が一ちびっても水が流れているから誤魔化せるけど、これは予想以上に怖い。


ほれっ  アリシア落ちろ!


いやーーー  セレネ、押さないでよ!


なになに、決して前かがみにならないで下さい。  背中は床にピッタリくっ付けて、両腕は胸の前で交差して下さい。


ふむふむ。  わかったか、アリシア?


死んだ・・・もう、あたし死んだわ・・・


何をブツブツ言ってるんだ。  いけっ!


あたしは、親切にアリシアの背中を蹴って押してあげた。


ギャーーーーーーー   ァ-----  ァ-----


すごっ  声が小さくなっていく。


シュバババ  バァーーーン


もの凄い水しぶきが上がり、アリシアの体がプールにプカリとうつ伏せに浮かんだのが小さく見える。


これは・・・ 死んだか?



あのぉ  早くいってもらえますか?


急に背後で声がしたので、振り返ると結構な人数の人が並んで待っているではないか。


い、いつの間に・・


すみません今から行きます。


あたしは、さっき読んだ注意書きのこともすっかり忘れて、バンザイヽ(^o^)丿の姿勢で滑ってしまった。


おおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーっ


上体が少し浮き上がったと思った次の瞬間、ブラが勢いよく宙を舞って飛んでいった。


空高く飛んだ黄色いブラは、小さくなって最後にキラリと光ったような気がした。


・・・

・・


セレネ・・  セレネてば!


アリシアの声が小さく聞こえる。


パシッ パシッ  それに両頬を平手でペシペシ叩かれている。


う~ん


セレネってば。  早く起きないとオッパイ丸出しなんだから恥ずかしいって!


えっ?  あーーーーーっ  そうだ、ビキニの上が飛んでったんだっけ。


がばっと飛び起きたら、あたしの周りには大勢の人が囲むようにあたしを見下ろしていた。


い、いやーーーーっ!

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