第193話 ◆アリシアの帰省(その7) 異世界でアルバイト

◆アリシアの帰省(その7) 異世界でアルバイト


わかりました。 やらさせていただきます。 


ほんとうですか!  よかった。  今月号は大ヒット間違いなしですよ!


こうして二人は、雑誌社の人とクルマで撮影スタジオへと向かった。



途中の高速道路から見る大都会の街並みを見て二人はただただ驚くばかりである。


聳そびえ立つビル、凄いスピードで走る電車や車、空を飛ぶドラゴンの何十倍もある飛行機、みんな初めて見るものばかりだ。


セレネって、すごい所で暮らしていたのね。  アリシアが車窓から外の風景を見て感心している。


やがて大きなビルの地下駐車場にクルマが停まると地下からそのままエレベーターに乗り、スタジオがある階まで移動する。


ニーナ、何なのこの狭い部屋?  アリシアはもちろんエレベーターに乗ったことなど無いので小さな部屋と思っている。



ポ~ン


指定階につくとドアが開き、目の前にスタジオの入口が見えた。


すごい、これって移動魔法よね!   やっぱりこっちの世界でも魔法が使える人がいるんだわ。


アリシアが騒いでも言葉の意味は通じ無い。



さぁ、着きましたよ。


お二人には、スタッフが衣装合わせとメイクをさせていただきますので、その間に撮影の準備をしておきますね。


男性スタッフと入れ替わってメイク担当と衣装担当の女性スタッフがやって来る。


二人は直ぐ様、着ていた服を脱がされ、用意されていた服へ着替えさせられて行く。


やっ・・・ あんた達、何するのよ!  あ・・あたしのお気に入りのパンツ返してよ~! ←言葉は通じていません。


普段のアリシアの強気は、どこに行ったのやら状態である。



着替えと同時進行で、メイクもテキパキと進んで行く。


ファンデーション、アイライン、エクステ、グロス、チーク・・・


ニーナはビーナスの様に、アリシアはエンジェルのように更に磨きがかかっていく。


はぁ~


ほぉ~


女性スタッフ達から、悩ましい溜息が漏れる。


それもそのはず、着替えとメイクが終わったニーナとアリシアはこの世のものとは思えない神々しさが漂っていた。


それでは、撮影よろし・・・


撮影の迎えに来た男性スタッフもあまりの美しさに声を失う。



あ、あのっ・・ あちらでカメラマンの先生がお待ちですので、移動をお願いします。


カシャッ カシャッ カシャッ


パシャッ パシャ パシャッ


カメラマンもファインダーに釘付けで、いつもの撮影の何倍もシャッターを切っている。



・・・


こうして初モデルの仕事も終わりモデル料をもらった二人は、高校の先生が言っていたホテルという名前の宿屋を探すことにした。


ねぇ、ニーナ。 このお金で宿屋に泊まれるかしら?


そうねぇ・・・ 先に宿泊代を聞いてから泊まらないとまずいですね。


都内のスタジオで撮影したため、周辺にはホテルがたくさんあるのだが二人は文字が全く読めない。


あっ、 ここって服屋さんじゃない?  アリシアがウィンドウ越に展示されている洋服を見つけて立ち止まる。


このかっこ目立つっていうか、こっちの世界だとダサくない?  アリシアが自分の服をつまんでヒラヒラさせる。  


ニーナは、別にダサイとは思わなかったが、確かにこの格好はこっちの世界ではミスマッチだ。


そこで、二人はブティックに入って服を見て行くことにした。


お店の中に入るとすぐに店員が寄って来る。


どのようなお洋服をお探しでしょうか?


もちろんカワイイやつよ!  決まってるじゃないの。 ←言葉は通じていません。


普通に街を歩けるような服をお願いします。


はい。  そうですね、これなんかはいかがでしょうか。


・・・


こうして、こちらの世界で服を買って、再びホテルを探し始めた二人であったが・・・

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