第189話 ◆アリシアの帰省(その3) 胸の谷間
◆アリシアの帰省(その3)
ニーナはアリシアの手を取り、そっと抱くと目を瞑ってジャンプ先のイメージを頭に描いた。
次の瞬間、二人の姿はあたしの前からフッと消えた。
あ~ 行っちゃったかぁ・・・
これでしばらく静かに暮らせるという安堵感と少し寂しい思いが絡みあった、何だか複雑な気持ちになる。
アリシアが今までの体験(人魚と会ったことや魔王城の戦い、覚えた沢山の料理のことなど)をララノアに楽しそうに話す姿を想像してみる。
ララノアにいっぱい甘えて、頭をポンポンしてもらってくるといい。
さあてとっ、洗濯でもするかぁ・・・ 今日もいい天気になりそうだ。
・・・
ニーナは最初のジャンプ先をアンジェリク王女のお城にしていた。
ジャンプ中は、自分の周りが真っ白な霧に包まれたようになる。
そしてジャンプ先が近づくと、その霧の向こう側に目的地がぼやぁっと浮かんでくるのだ。
あっ、お城・・・ お城が見える。
アリシアがニーナに抱かれた腕の中で声をあげた。
はい、そろそろ着きますよ。 もう少しこっちに来てくださいね。
ニーナはアリシアを抱く腕に力を籠めた。
ムギュゥ・・
ちょっ、ニーナ。 ぐるじぃ~
アリシアはニーナの胸の谷間に顔が埋まり、息が出来ずにもがいた。
はいっ♪ 到着です。
二人は、魔王城の門の前にスゥーッと姿を現した。
お城は短い間だけど随分と綺麗になっているようだ。 この国は豊かな国造りに向けて動き出している。
アンジェリクに会って行くの? アリシアが尋ねる。
いいえ。 直ぐに次の場所へジャンプします。
次は、どこ?
次は、キャロンさんが勤めていた図書館です。
図書館?
はい。 それじゃ、行きますよ。 しっかり掴まっててくださいね。
フッ
ここでは、急に目の前に現れたニーナとアリシアに、館長さんがビックリして腰を抜かした。
館長さんは、もちろんキャロンさんをブックエンドでぶん殴ったあの館長だ。
そして、またジャンプ。
今度はニーナが前にアルバイトをしていたメイド喫茶のお店の中に出た。
喫茶店のマスターはニーナがバイトに戻って来てくれたと勘違いして、大喜びで飛んで来るが目の前で忽然と消えてしまう。
ここから先はセレネの記憶でジャンプするしかない。
ニーナは、セレネからコピーした記憶でジャンプした。
白い霧の向こうから、何かがもの凄い勢いで向かって来る。
それは魔物ではない何かで、生き物の気配が全くしない。
しかも、たくさん蠢いているようだ。
やがて霧が薄れて、ハッキリ見えて来た。
パッパッパーーーーーン
ビッビッビーーッ
ブワーーン
きゃーー ニーナ、なにこれ怖いよーーー!
こ、ここはいったい・・・ どこなのママ?
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