第187話 ◆アリシアの帰省(その1)
第十部
◆アリシアの帰省(その1)
魚釣り大会で大漁だったおかげもあり、しばらく食料にも困らない。
その日に食べる分以外は、アリシアの氷系魔法でカチカチに凍らせた上に、冷凍倉庫で飼っているアイススライムに冷やし続けてもらうので超長持ちする。
あたしの大好物のマグロももこうの世界ではマイナス60℃の超低温で冷凍保存されていると聞いたことがある。
アリシアの氷系魔法は絶対零度に限りなく近いし、アイススライムもマイナス20℃以下で生息する環境を自ら作り出しているので電気冷蔵庫などは要らない。
そして、大会当日の夕食はコリン君の手でありとあらゆる魚料理が振舞われた。
新鮮なお刺身、白身魚のフライや天ぷら、焼き魚、煮魚、アクアパッツァ、ムニエル、香草焼き、ワイン蒸し、etc・・・
それぞれが、自分が食べたいものをお皿にとって行くバイキングスタイルだ。
今回ばかりは、どの皿も取っても取っても無くならないボリュームだ。
もちろんメイアの分(カジキマグロに似た魚を3匹)は別にしてある。
おっさん達は、ビールやワインも自分の部屋から持って来て、お姉さんたちと楽しそうに騒ぎ始めた。
ちょっと! ここは、ランランランドじゃないのよ!
アリシアがまたプンスカ怒り始めたので、料理を自分たちの部屋に運んで場所を変えて食べることにした。
ねぇ、アリシア。
なに?
おうちが恋しくなってない?
・・・ べ、べつに。
あたしは、以前アリシアが泣いているところも見たし、ララノアの代わりにあたしに甘えてくる気持ちもよく分かっているつもりだ。
そう? ちょっとお母さんに会いに行くくらいなら、ニーナに頼めばできるんじゃないかな。 ねぇ、ニーナ?
はい、少し距離があるけど何回かに分ければ、なんとか鉱山の町までは1日で行けると思います。
ニーナ、それほんとう? アリシアの顔がパァッと明るくなる。
ただし行ったその日のうちに帰ってくるのは、魔力が尽きてしまうので無理ですね。
だったら、家うちに泊まればいいわ♪
アリシアはもう帰省する気満々だ。
あっ、でも一度行ったところでなければ、そこに行ったり戻って来ることはできませんよ。
ニーナは鉱山の町へは行ったことがないけど、いったいどうするの?
それなら、こうしてママの記憶をコピーすれば大丈夫です。
ニーナがあたしのおでこにコツンと自分のおでこをくっつける。
なるほど~ これは便利だね。
戻って来る時の事も考えると、どこかの港でしばらく停泊する時がチャンスだね。
そうだ、あたしママに手紙を出しておくわ。
それはいいね。 モッフルダフが伝書鳩を飼ってるから、先に聞いてみるといいんじゃないかな。
伝書鳩は中継局まで飛び各地の中継局を別の鳩が経由しながら、最終配達先には最寄りの中継局から人の手で配達される。
次の港が決まれば、返信先をそこに指定しておけばよい。
あたしの世界では確かハヤブサが時速387kmで鳥類最速だが、この世界の伝書鳩のスピードは半端ないそうだ。
こうして、アリシアの帰省準備は着々と進んでいったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます