第185話 ◆大噴火
◆大噴火
この途轍もなく大きな島は、地図で見るとマリア先輩の国があった大陸の四分の一くらいはある。
そして、この島には火山が多くあった。
ランランランドの裏側にも活火山があり、まるでディ○○ー○ーにある作り物のプロテ○ス火山のように鎮座している。
小さな火山ではあるが、常に噴煙が上がっていて、来園する人のテーマパーク感を一層盛り上げるのに一役買っている。
ランランランドで、たっぷり楽しんだおっさん達は、また船内の食堂でビール三昧ざんまいの毎日である。
まったく、この人たちと言ったら、稼いだ利益を全てお酒とランランランドの遊行費に注ぎ込んでいるのではないだろうかと呆れてしまう。
・・・
おっさん達があの様だし、この島では特に仕入れる商品は無いので、水と食料を補充して明日出発する予定になった。
が、この日の夕方、大変な事態が発生する。
そう、タイトルでネタバレであるが、島の火山が一斉に噴火し始めたのだ。
港に停泊していた船は、島の人々の救出にあたりながら、島から順番に離れて行く。
あたし達の船は、港から一番離れている灯台近くに停泊していたので、ランランランドで働いていたお姉さん達を乗せてから港を離れた。
島から3海里(1海里=1.852km)ほど離れたところで、島最大の火山が大噴火した。
わぁ、きれい♪ アリシアが暗闇の中、真っ赤な火柱を上げる大噴火を見て不謹慎にも喜んでいる。
その横で、溶岩に飲み込まれて行くランランランドを見て、スヴェンがガックリ肩を落としていた。
アリシアが噴火の様子を眺めていると、近くでバッシャーーンと水柱が上がる。
そう、火山弾が飛んできたのだ!
きゃっ
おぅ アリシアもカワイイ声で悲鳴をあげられるじゃあないか。
あたしが感心している間にも、あたりの海面には次々に火山弾が落ち始めて、凄い事になって来る。
うわーーー
早くもっと沖に退避じゃーーっ ラッセが船首からフィアスに向かって大声で叫ぶ!
その声に気付いてフィアスが全速力で船を曳き始めた。
が、フィアスの全速力にさっそく船の強度が持ちそうにない。
かなり大きくて頑丈な商船なのだがフィアスが速すぎて、高速ボートのように海面を跳ね、船底が何度も激しく海面にぶつかる。
このままでは、船がバラバラになってしまう。
フィアスーーー お願い減速してーーー!
あたしは手すりに掴まりながら何とか船首まで辿り着き、大声でフィアスに声をかけるが、波の音にかき消されて届かない。
ミシッ
バキッ
ザッパーーン
それどころか、フィアスの背中に火山弾が命中してしまい、驚いたフィアスは更に速度を上げた。
みんなは、船から投げ出されないように、ただ近くの手すりやマストにしがみついているのが精一杯な状況になる。
わわわっ
あたしは一度、巨大烏賊の襲撃で船を破壊され漂流しているので、もう同じ目には二度と遭いたくない。
どうしようか一生懸命考える。
そうだ! メイアがいるじゃないか。
メイア、メイア こっちにおいで! 少し離れたところに居たので甲板をトントン叩いて呼ぶ。
メイアは不思議なことに、これだけ大揺れの船上を普段通りテクテク歩いて来た。
なに? メイアは首を傾げてニコッと笑う。
ズキューーン
はぅ・・
はっ! 今はそれどころじゃなかった。
メイア、フィアスに減速するように言って来て。 このままだと船が壊れちゃう。
わかった~
ボンッ
メイアはドラゴンの姿になって、フィアスにあたしの伝言を伝えに飛んで行った。
メイアがフィアスに船の状況を伝え、既に火山弾も届かない場所まで来ていたこともあって、船はすぐに通常航行速度まで戻り一安心状態になった。
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