第170話 ◆魔王討伐作戦(その3)

◆魔王討伐作戦(その3)


魔王軍の2つ目の拠点に移動したあたし達は、早速用意した罠(投石器)を4機×3列に並べた。


この武器の欠点としては、弾が結構重いので装填に時間がかかるのと飛距離が意外と短いため、1体でも突破されると備えが崩される可能性があることだ。


そこで、弾込め要員と守備固めにキャロンさんとモッフルダフに待機してもらうことにする。


そして残りのメンバーが囮役で突入するのだが、今回は飛距離の関係もあり自分たちが逃げている最中にも大岩が飛んで来るのだ。


飛んで来る弾をよく見極めて避けないと自滅しかねない、まさに命懸けの作戦なのだ。


そして、この戦いでは予想外に苦戦を強いられてしまう。


・・・


それじゃあ、みんな覚悟はいいわね?


メイア、ニーナ、アリシア、コリン君は、静かに頷く。


シルフは爆睡タイムに入っているので、今回は役に立たない。


魔王軍は前回の戦いで大敗を喫しているので、それなりに守備を固めているようだ。


なので、奇襲作戦をかける。


みんなでニーナに掴まって、瞬間移動をして敵陣のど真ん中に出る。


それぞれが、四方に散って魔物をある程度倒し混乱させたところで、一斉に退却に入る。


が、あたし達の退路をヒドラに乗った魔物が塞いだのだ。


これは、まずい!


後ろからは、魔物達が大勢追いかけて来る。


あたしが、サブマシンガンを使って援護射撃をしている間に、アリシアとコリン君がヒドラと対峙し氷結魔法を放つ。


しかし、ヒドラは1体だけではなかった。 あとから、もう2体が出現したのだ。


1体だけでも手強い相手なのに3体では、こちらが圧倒的に不利だ。 


ヒドラの紅蓮の炎が、激しくみんなを襲う。


しかも、ここのヒドラは魔王によって強化されているようで、前にダンジョンで遭遇したヒドラの2倍の大きさだ。


ゴォォーーー


あっちっち  


だいぶ離れたところにいるあたしのところまで、高熱が伝わって来る。


これは、ヤバイかもしれない!


まだ投石器の射程までは、200m近くある。  しかも投石器の岩くらいではヒドラにはかすり傷も負わせないだろう。  


どう体制を立て直そうかと状況を確認するために後ろを振り向くと、ニーナにヒドラが襲い掛かった。


ニーナに炎を浴びせ動きを止めたところを、その巨大な足であっと言う間にニーナの体を踏みつけた。


キャァーーー  ニーーーナーーー!!


ヒドラが体を動かすと、ニーナが立っていたところには、もはや人影すらなかった。


あ・・あああ  ニーナが・・・


あたしが呆然としているとシルフがあたしの胸から這いだして来た。


シルフ、ニーナ、ニーナが殺られちゃったよ。


セレネ 大丈夫!


シルフは一言いうと今までに見たことが無いような速さで、ヒドラに向かって飛んで行った。

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