第171話 ◆魔王討伐作戦(その4)
◆魔王討伐作戦(その4)
シルフは目で追えないほどのスピードでヒドラに向かって飛んで行った。
ほんの数秒後、眩い閃光が走った。
あまりの強烈な光のため、周りは真っ白になり、その場に居た者全てが己の目を手で覆った。
もしもこうでもしなければ、太陽を直視した時と同じように失明してしまっただろう。
やがて光が消え、恐る恐る前方を見れば、3体のヒドラは全て真っ二つになっていた。
腹部から上は地べたに転がり、下半身はそのままの姿で立っている異様な光景がそこにあった。
シルフ・・・ シルフーーー!
あたしは、急いでシルフとニーナを探しに倒されたヒドラに向かって全速力で駆けた。
後ろではアリシア達と魔物の闘いが再び始まっているが、ヒドラが全て倒された事で明らかに敵の戦意が落ちている。
メイアもアリシアもコリン君もニーナが踏みつぶされたところを見ていたので、怒りで我を忘れ鬼の形相で戦っている。
魔物達は、焼かれたり、氷漬けにされたり、超音波で切り裂かれたりしながらその数を減らして行く。
あたしがヒドラの周りを探しているとまだ少しだけ光を放っているシルフを見つけた。
思ったとおり全ての力を放出してしまったのだろう、ヒドラの傍の地面の上に倒れていた。
そっと抱きかかえ、顔を近づけてみれば小さな胸が僅かに上下している。
良かった、息をしている。 体にも傷はついていない。
あたしは、シルフを胸の間にそっと挟んで、ニーナを探し始めた。
確かこっちのヒドラの左辺りだった。 ヒドラの足跡を幾つか辿ってニーナを探す。
だけど、いくら探してもニーナは見つからない。
あたしは、半狂乱になって泣き喚いていたが探すのを止めなかった。
ニーナ どこなの? ママだよ。
ニーナ・・ どこにいるの・・・
散々探し絶望したあたしがしゃがみ込んで、わんわん泣いているとメイア達が傍にやって来た。
どうやら敵は全滅したらしい。
やがて、モッフルダフとキャロンさんもやって来た。
みんなで、1時間ほどあたりを探したが、結局ニーナを見つけることは出来なかった。
あたしは、ニーナを失ったショックで、魂が抜けたような状態になり何も反応が出来ないでいた。
そして、ただメイアに手を引かれるがままに歩いて町へ向かったのだった。
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