第167話 ◆始まっちゃった!
◆始まっちゃった!
アリシアが、子供を殴った魔物を氷結魔法で凍らせてしまった。
そして桟橋付近にいた魔物達がこの事態に気づき徐々に集まり始めていたた。
このままでは、荷下ろしの作業をしていた女性や子供たちが危ない。
あたしが、みんなを呼びに船室に向かおうと思って振り向くと、もう甲板には全員が揃っていた。
みんなの顔を見れば、もう事態の説明も必要ないようだ。
あたしは、自分の武器を取りに一人で部屋まで駆け下りた。
その間に、ニーナは瞬間移動で桟橋に降り立ち、メイアは巨大ドラゴンの姿になって上空に舞い上がった。
アリシアとコリン君はモッフルダフとタラップを駆け下り、荷下ろしをしていた人々を安全な場所に誘導した。
魔物たちは不思議な声を上げて仲間を呼び集め、次第にその数を増して行く。
そして、あたしがサブマシンガンを手に持って甲板に戻って来ると既に戦闘は始まっていた。
船上から見ると、魔物達は確かに強い。
が、エルフ族の血を引くアリシアとコリン君は、そんな魔物達を強力な魔法で次々に倒して行く。
アリシアはララノア譲りの氷結魔法で魔物達の足を瞬時に氷漬けにする。
こうされると魔物は身動きが取れないし、やたらと力があるため動こうともがいた途端に凍った足がもげてしまう。
コリン君は女の子の恰好のままスカートをひらひらさせながら魔物たちの間を縫うように走り回り、超接近状態で電撃を放ち即しさせて行く。
モッフルダフは、やや苦戦状態に見えるが、ニーナが防御魔法を使い上手くカバーしている。
一方、メイアは上空から集まって来る魔物たちに火炎を浴びせ焼き払って行く。
直撃を受けた魔物達は火達磨になって海に飛び込むが、ドラゴンの炎はそのくらいでは消えず骨まで焼き尽され跡形もなく消滅する。
メイアは巨大化したからなのか、今までとは比べ物にならないくらい強い。
シルフは、ちゃっかりメイアの頭に乗って、メイアの死角に入る魔物を倒していく。
シルフも脱皮した分、確実に強くなっているのだ。
あたしは、エイミーから譲り受けたサブマシンガンと手榴弾を持ってタラップを下りた。
ひとまず一番近くにいるモッフルダフたちに合流して援護射撃を開始する。
タタタタタッ タタタッ
懐かしいマシンガンの発射音が辺りに響き渡る。
おぉっ 弾が当たると結構な確率で魔物が倒れるではないか!
これって、あたしも結構戦力になってるよね。
こうして港での戦闘は1時間もしないうちに、あたし達の圧勝に終わった。
早速、避難させていた人たちに怪我が無かったか確認しに行くと予想外の言葉を浴びて戸惑った。
どうして余計なことをしたのか? このままで済むわけが無いだろう!!
魔物達は直ぐに大群を率いて、この町の人々を見せしめのために皆殺しにするに違いない。
男達もただでは済まない。 この町はもうお終いだ!
そう言って女も子供を泣いている。
あたし達は、ただ黙ってその言葉を聞いていたが、その目は全員が覚悟を決めた目だった。
そう! 魔王は必ず倒す!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます