第160話 ◆ファイナルアンサー?

◆ファイナルアンサー?


毛虫の所為でなかなか眠れなかったけど、陽が高くなるにつれてポカポカ暖かくなって、いつの間にか眠りについていた。


そして、あたしは夢を見た。


お母さんとお父さんと一緒に遊園地に遊びに行った時の夢だ。


あたしが観覧者に何回も乗りたがるので、お母さんが怒ってしまうのだけど、お父さんがセレネがもういいよと言うまで一緒に乗ってあげると言う夢だ。


夢の中で、二人の顔はハッキリしなかったのだけど、その声は紛れもなく両親のそれだと確信した。


目が覚めると、あたしは泣いていた。  夢を見ながら泣いていたのだ。


でも、目が覚めた場所は、やっぱり学校の裏山だった。


悲しかった。  あたしは声を出さずに両手で顔を覆って、ひたすら泣いた。



ぐぅーーー


お腹が鳴った。


昨日から何も食べていない。  お金も持っていないし、それにこの服装では街中を歩くわけにはいかない。


夜になったら、学校か公園に水を飲みに行こう。



あたしは夜になるまでの間に、次の手段を実行することにした。


そう、高い所から落下してみるという恐怖の一手だ。  



セレネ、ファイナルアンサー?


オゥ・・ イエス・・・  ファイナルアンサー!


何かバカでも言わなければ怖くて実行に移せない。


イエス  イエス  イエスキリスト  神様、仏様  どうかあたしをお救いください!


ブツブツとつぶやきながら、一番高い木に登る。


高い所は苦手なので、なるべく下を見ずにひたすら上る。



途中で遠くを見れば、最寄り駅に電車が停まっているのが見える。


ちらっと下を見たら、もうあの時のマストの高さをだいぶ超えていた。



MY god・・


Please give me another try.



あたしは、潔く両手をパッと離した。


ズズッ


でも、本能が両足を木の幹をしっかりホールドさせていた。


Oh,snap!


Selene・・


Try again



今度は、無心になり両足も潔く離した!


ヒューー  バキッ バサッ ガッ


落下しながら、たくさんの木の枝にぶつかる。


中には太い枝もあって、かなりの激痛が走る。


そして今回も地面にぶつかるまでの時間が長く感じる。


神様、どうか成功させてください。


ガンッ


グギュッ


とてつもない衝撃と激痛を感じながら、あたしの意識は遠のいて行った。


これってやっぱり死ぬのかな・・


・・・

・・


うっ・・  痛ーー!


動こうとすると頭と首に激痛が走る。


それに目の前が真っ暗で何も見えない。


ここは、いったい・・・

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