第145話 ◆一発逆転を狙う
◆一発逆転を狙う
この町は港の周りに大きな造船所が幾つもある。
その所為か、筋肉痛の飲み薬とシップ薬の売上が多いのが分かった。
それなら、疲労回復に効くという怪しげなドリンク剤も売れるかも知れない。
あとは、厳つい男たちが多いので、夜に使うアレも売れるだろう。 (アレって栄養ドリンクだからね)
そう読んで、今日は筋肉系中心のラインナップとした。
あと、メイアはニーナの姿に変化させた。 なんでかっていうと、今日はこの国の建国記念日で休日だからだ。
休日なら、筋肉系のパパさんが家にいる。
ニーナの容姿をフルに活かして、向こうの世界でいうマムシ系ドリンクを売捌くのだ。
う~ん、メイア。 もう少しバストを大きくしてみて!
ズンッ
いや、それデカすぎだから。 ふざけないで、ちゃんとやる。
シューーー
おっ そのぐらいでいいや。 よっしゃ、超グラマーーー♪
あたしも生まれ変われるなら是非この能力が欲しい。
・・・
こんにちは~。 お薬は要りませんか?
要りません!
ママさんが出てくるとニーナを見て、冷たい態度を取る。 そりゃあ自分より美人は女の敵だしね。
こんにちは~。 お薬は要りませんか?
今度は庭で筋トレをしているパパさんに声をかける。
やっぱり、効果バツグン。
ニーナ(メイアだけど)を見て鼻の下を長くして、あっち系の薬やドリンクをたくさん買ってくれる。
メイアさん、もうちょいスカート短くしてみ?
こういうお色気作戦は、女の本能に頼るに限る。
そうそう、その丈。 ニーナは足が長いから、膝上20cmでも全然余裕よ。
あたし達のクラスの女子なんか、パンツぎりぎりの娘だっていたんだから。
また一つ、どうでもいい記憶がよみがえった。
こうして、パパさん・お兄さん向けのお色気作戦が功を奏し、あたし達の本日の売上は昨日の3倍になった。
・・・
一方、昨日は絶好調だった、アリシア ペアは不調の真っ只中だった。
ニーナ、どうして? なんで今日は売れないの?
アリシアが薬が売れずに焦り出した。
実は昨日二人が薬を売り歩いたのは、山の手エリアの真ん中より下の辺りで、今日はもう少し山頂に近いエリアなのだ。
そう、今日二人が売り歩いている場所こそ、本当の富裕層エリアだったのだ。
だから、筋肉痛に効く薬やシップ薬の需要があまり無いのだ。
あたしは、商売には客層や場所の事前リサーチがたいせつな事を実践で学んだ。
これは、社会に出たらもっとも必要なスキルだろう。
サラリーマンやOLに例えるなら、顧客や上司や部下が何を求めているかを適切に判断し、迅速に対応するということだ。
もし、元の世界にもどれて就職できたら、ぜひこのスキルを活かそうと思う。
そして、2日目はメイアとあたしのペアが大勝利した。
おー ほっ ほっ ほっ
笑ったあと、アリシアの悔しそうな顔が、ちょっと可哀そうに思えた。
そしてこの後、あたしは小さな女の子相手に大人げなかったといっぱい反省したのだった。
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