第142話 ◆アリシアVSセレネの薬売り

◆アリシアVSセレネの薬売り


残念だけど人魚族の邪魔が入り、海賊の宝物は見ることが出来なかった。


人魚族という呼び方と200人が勢ぞろいしているところは、なんだか暴走族みたいだったなぁと思う。


あれで、鉄パイプとか鉢巻とかさせて集合写真を撮って、舐めんなよっ! とかバックに文字を入れて売り出したら人気になるかも。


自分でそんな想像をして、クスクス笑ってしまった。



人魚に壊されたボートについては、モッフルダフは特に何も言わなかった。


まあ、帰って来た時に、あたしがすっごく怖い顔をして報告したからだと思う。


だって、水晶の谷もドラゴンの里も海賊の宝物も、みんなモッフルダフのせいで、酷い目に遭っているのだから。



今度商いをするこの国は、造船業が発達していてモッフルダフの船も船体のメンテナンスを此処の港の乾ドックで行う。


壊れたボートのかわりも、新品を調達するようだ。


乾ドックに入れると当然ドックから水を抜くので結構時間がかかるし、メンテナンスと言っても修理する部分も多いらしいので、必然的に滞在期間も長くなる。


その間を利用して、あたし達の分として仕入れた薬を極力売捌くことにした。


なぜなら、この国で売った方が他の国で売るより薬価が高いからだ。


商いは、なんぼ儲かるかでっせ!  こんなセリフをどこかのテレビ番組で見たような気がする。



薬は薬問屋に売る場合と直接売り歩く場合がある。


あたし達は、この国の薬問屋には伝手つてが無い。


今回はモッフルダフに紹介してもらうだけで、薬問屋には売ることはない。


なぜなら、モッフルダフが売る分に自分の分をプラスすると需要と供給のバランスが崩れて、問屋との取引薬価が下がってしまうからだ。


だから今回は、直接売り歩く。 いわゆる訪問販売である。  決して押し売りではない。



訪問販売しても嫌がられないように、可愛らしい感じで行こうとみんなで話しあった。


ニーナとアリシアでペアになってもらう。  こちらは、そのままで十分過ぎるほど可愛い。  きっとたんまり売れることに違いない。


問題なのは、あたしとメイア(とおまけのシルフ)ペアだ。


メイアが幼女じゃまずい気がするなぁ・・・  なんだか旦那に逃げられた哀れな女の薬売りに見えそうだよ~。


同情を引いて、売上を上げるという手もあるかもだけど・・・


あたしが悩んでいると行き成りメイアが、新キャラクターに変化した。


Oh! 


メイアさん。 それは、おじさんには大人気かもしれないけど、ちょっと過激すぎるんじゃない?


するとそのキャラのまま、しばらく首をかしげて考えている。



ボンッ


メイアは次にララノアに変化した。


もしかして、その音気に入ったの?


メイアはララノアの姿のまま、てへぺろをして見せる。   本人じゃ絶対に見れないのでちょっとラッキーかも。


でもね、メイアさん。  それって肖像権侵害だからNGですよ。


こんどは、ララノアのまま首をかしげている。



ボンッ


メイアは、ニーナに変化した。


だから肖像権侵害だって・・・  まてよ、ニーナはメイアがニーナの姿でも嫌じゃない?  一応ニーナに確認してみる。


べつに構いません。  ニーナはニコニコしながら、両手で大きな○印を作った。


そっか・・・  メイアさん、それでOKです。


ちょうどいいや、早く売上るために二組で競争しようよ!  その方が面白いし、やる気もでるでしょ。


実質、あたしVSアリシアの戦いになりそうだけど、アリシアは手強そうだ。


こうして、薬売り競争の幕が切って落とされたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る