第140話 ◆洞窟突入

◆洞窟突入


海賊の宝物を見れるチャンスは一度きりしかないかもしれない。


ただ、この洞窟は危険な臭いがプンプンする。


軽率に中に立ち入れば、ダンジョンのケルベロスやヒドラの時の二の舞になる可能性がある。


それに今回のメンバーの中には、モッフルダフもエイミーもリアム、ララノア、タケトの誰もいないのだ。


メイアとシルフとあたしは、この修羅場を一緒に乗り越えたが、あたしはエイミーがくれたマシンガンすら持っていないので戦力にすらならない。



みんな、どうしようか?  この洞窟の中にはヤバイ奴がいるかも知れない。


ママ、あたしは行ってみたいです。


ニーナ、大丈夫なの?


ふふっ  実は、あたし強いんですよ。


おぉぅ・・ その自信はいったいどこから来るのかな?


あたしも負けないから。  アリシアも強気だ。


さすがにララノアの娘だけに魔力は強いのだろうけど、二人の実力は不明なので躊躇する。


あたしが判断を誤れば、みんなを危険な目に遇わせてしまう。


シルフはどう思う?


ニーナが居れば大丈夫。


えっ?  ニーナって本当に強いんだ。 シルフはいい加減なことは言わない。



メイアは?


宝物で焼き肉食べれる?


って、そっち?


メイア、残念だけどモッフルダフが見るだけだって言ってたんだ。  彼がそう言うなら、何か事情があるに違いない。


もしかしたら、呪われた財宝とかね。


みんなが行くなら、メイアも殺る。


ほぇ~ 殺す気満々じゃないか。  幼女なのに物騒だよ、メイア。


う~ん。  仕方が無いなぁ。 それじゃあ、いっちょうやりますか。


あっ、でも危なくなったら、即撤退だからね。


それじゃ、行こうか。  あたしは唯一の護身用のオリハルコンで出来た短剣を構えた。



洞窟は入口から3mも進むともう薄暗い。  


もちろん洞窟の先は真っ暗闇だ。 


シルフが炎を噴き、ニーナが手に持った流木に火を点ける。


これを松明たいまつの代わりにするが、長くは持たないので適当な大きさの流木を3本ほど持って行く。


松明によって洞窟の中が明るく照らされる。  炎がゆらゆらと洞窟の先へとなびく。


どうやら空気の流れがあるようだ。  これなら、奥へ進んでも酸欠の心配は無い。


しばらく進むと先頭を歩いていたニーナが歩みを止めた。


どうしたのニーナ?


しっ!  何か来る。


みんな気を付けて!


ニーナのその言葉が終わらないうちに、洞窟の奥から空気を震わせる唸り声が響いて来た。


グォーーーーーッ!


その恐ろしい唸り声に、ヒドラの時の恐怖が甦る。


ぜ、全員急いで撤退ーーー!!

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