第139話 ◆海賊の宝(その4)

◆海賊の宝(その4)


干潮に合わせてボートを漕いでいたので、入江に続く入口の穴はまだ開いたままだ。


メイアには低空で飛ぶと人魚族に襲われるかも知れないので、念のため海面からジャンプされても届かない高さを飛んでもらう。


それは、モモちゃんが海に戻る際に見せた、大ジャンプを覚えていたからだ。


おそらく、水族館でみるイルカのジャンプくらいは飛べるんだと思う。


空から見ると透き通った海に人魚らしい影が、幾つか海中を泳いでいるのが確認できる。


やはり、モッフルダフが言ったことは嘘ではなかったのだ。


だとしたら海賊の宝も、あの島にあるに違わない。


入口近くまで来たので、崖沿いに垂直降下して入口へ突入をはかる。


あたしは、垂直降下は初体験だったので、超怖かった。


パンツが濡れているのは、決して怖くてちびったわけではない。  さっき、ボートが沈んだせいだからね。


・・・


入口から入江の中に入ると、そこには白い砂浜と幾つもの洞窟があった。


如何にも海賊の宝物が隠されていそうな場所だ。


みんなで砂浜に降り立つと、さっそくメイアとアリシアが走り回っている。


幼女は元気いっぱいだ。 あれで片方がドラゴン、もう片方が魔法修行中のハーフエルフだよ。


人は見かけで判断してはいけない。  これは正しい!



あたしは、側にいるニーナに宝物がどの洞窟にありそうか聞いてみた。


右から2つめ。


おい、なんでシルフが答えてるんだよ!


それで、合っていると思います。


ニーナがそう言うと、シルフが久しぶりに ふふんと ドヤ顔をした。



ならば、あたしが いっちばーーん! 


あたしは、砂浜を猛ダッシュで駆ける。


が、あっと言う間にニーナ、メイア、アリシアの順にあっさり抜かれる。


シルフはあたしの頭の上に器用に乗ってるが、あたしが一番遅いんだよ。



でもみんな優しいので、洞窟の入口で待っててくれた。


・・・じゃないな。 なんか不気味な気配がするんだ、この洞窟・・・


目の前にぽっかり空いた洞窟は、人が入るのを拒むかのような気配が中からして来る。


これは、ダンジョンで感じたヤツに似ている!


メイアはどう思う?  振り返ってメイアを見たら、メイアはもう爬虫類の目をして洞窟を見つめていた。

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