第132話 ◆さよならメイア

◆さよならメイア


もう、モッフルダフの言う事は、無視することにしよう!


水晶の谷のかぎ爪恐竜や今回のドラゴンの里の件にしても、あたしが望まない結果ばかりになる。


あたしは、どうしたらいいか分からない怒りの矛先をモッフルダフにぶっつけている。


もちろん、モッフルダフが悪いことなんて本当には思っていない。


だけど娘メイアを失うという、気持ちのやり場が無いのだ!


あたしは宿に戻ってから荒れに荒れた。


もう、プンスカ、プンスカ一人で怒りまくっていた。


こんなあたしを見たことが無い、シルフやニーナ、アリシアは遠くから黙って見守ってくれていた。


メイアが一緒に戻ってこなかったことで察したのか、あたしの心を読んだニーナがみんなにそっと顛末を教えたのかは分からない。


けれども、それは有難かった。


もし、みんなから優しい言葉でもかけられたら、その場で泣き崩れてしまったと思う。


心にぽっかり穴が開いてしまったようだ。  何もする気も起きず、ベッドで布団を頭からかぶって一日中過ごした。


食事も喉を通らない。 なんと2日間で、あたしは念願だったダイエット目標を見事達成してしまった。



そして、ようやく心がメイアを諦めることを認めた。


メイアは、あたしより仲間たちを選んだ。  それは当然の事だ。



今日は船出の日だ。


メイアときちんとお別れできなかったことが心残りだが、仕方が無い。


また、この国に立ち寄ることがあれば、真っ先にメイアに会いにドラゴンの里に行こう。



さぁ、気持ちを切り替えて、しっかり前を向いて歩いて行こう。


・・・


宿を出て桟橋に向かう。


ポタッ ポタ ポタ


あれ?


涙が・・・


気が付けばあたしは、歩きながら泣いていた。


やだ・・ やっぱりやだよ・・  メイアが居ないなんて・・


掌で涙をぬぐいながら歩くが、涙ってこんなにたくさん出るんだってほど止まらない。


まるでパッキンがダメになった蛇口みたいだ。


あたしは途中から、小さな女の子のように、わんわん泣きながら歩いた。


道を歩く人がすれ違うたびに、あたしを見ているのが分かるけど、溢れ出る感情は止めようもない。


メイア・・ メイア・・  やっぱりメイアがいなきゃいやだよ・・


メイアが撃ち抜いていった、あたしの胸こころの穴はなかなか塞がらないほど大きかった。



しかい、いくら泣いても船までの距離は限りがある。


あたしは、泣きながら狭いタラップを上った。


いよいよお別れだね・・メイア・・


エイミー、リアムに続いてメイアまでいなくなるなんて考えてもみなかった。


あたしは動き出した船の船尾に立ち、ドラゴンの里の方をいつまでも見つめていた。

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