第130話 ◆メイア行方不明

◆メイア行方不明


モッフルダフからメイアを連れていってあげると良いと言われた場所は、この国にあるドラゴンの里と呼ばれる場所だ。


ドラゴンは、この世界でも絶滅種らしく、この国では手厚く保護されている。


もっとも保護と言っても、知能は高いので動物保護のような感じではなく、あるエリアを定めてドラゴンに最適な環境を作り、そこにドラゴンを集めることで、個体数を増やそうというものらしい。


まあなんだろう、ドラゴンの合コン場所と思えばイメージしやすいかもしれない。


確かに、あたしもメイア以外のドラゴンは、ドラゴンの谷以来見たことが無い。




そういえば、ドラゴンの適齢期って何歳なんだろうな?


メイアをチラ見していると目が合ってしまった。


メイアは、ニコッと笑って、なに?みたいに首をかしげる。


ズキューーーン


グハッ


此奴こやつ、やっぱりあたしのハートを撃ち抜くすべを知っているな!



こうなるともう抱きしめたくなってしまう。


メイア、おいで おいで。


すると トコトコ走って来て、ピョンと飛びついて来る。


あーーー  もう可愛いなぁ・・・  どうしてメイアはこんなに可愛いんだろう・・・


でも本当は、あのドラゴンが飛び掛かって来てるんだよな~。



メイア、明日いい所に連れてってあげるからね~  いい子にしてるんだよ~


うん わかった~




・・・


そして、翌朝まだ寝ているあたしのお腹にメイアがダイブしてきたんだ。


もう少し上だったら、シルフがお煎餅になってたと思う。


メイア、人を起こすんだったらジャンプダイブじゃなくて、「ママ、オハヨー」でしょう!   鳩尾みぞおちをさすりながら、言って聞かせる。


だって、楽しみだった~


あっ、そうか。  いけない、いけない。  遅刻するところだったわ。


今日は、メイアをドラゴンの里に連れて行くんだった。



シルフをそっとベットに移し、慌てて着替える。


顔を洗ってからメイアを連れ、港の馬車乗り場へ向かう。  今日は、ニーナとアリシアとシルフはお留守番だ。


途中、パン屋に寄って朝食用のサンドイッチを買う。


メイアを連れているので多めに買ったのだけれど、店員はどう見てもあたしが大食い女のように思っていただろう。



馬車乗り場で「ドラゴンの里」行きの馬車がどこから出発しているかを確認すると、一番近くの停車場から30分後に出るのが分かった。


時間的にもちょうど良いので、さっき買ったサンドイッチをベンチに腰掛けてメイアと食べることにした。


はい、これがメイアの分ね。  よく噛んでゆっくり食べるのよ。  いいわね?


パック


パック


って、言ってるそばから、丸飲みだもんなぁ・・・



水筒に水を入れて来たので、それを飲みながら確信する。


うん、やっぱり、こっちの世界の水の方が少しだけ甘い。


メイアも飲む?


うん、飲む~


あっ、それ全部飲んでもいいよ。 そこの広場で汲んでくるから。




そろそろ、馬車が出発する時間になったので、テクテクと停車場まで移動する。


今日は、いい天気だ。


ドラゴンの里までは、結構な距離がある。  片道5時間ぐらいだ。


お昼過ぎに着いて、向こうに2時間いたとしても帰って来ると夜になってしまう。



ガタゴトと馬車に揺られていると、つい眠くなる。


ドラゴンも一緒なのか、メイアもあたしの膝の上で ウトウトし始める。


そうしているうちに、いつの間にか二人ともガッツリ寝込んでいた。


・・・



お客さん、着きましたよ。 起きてください! ←これ電車の終点で車掌さんに言われると超恥ずかしいやつ。


う・・うん・・


はっ! 


いけない。  いつの間にか寝ちゃってた。


って、あれっ?  メイアは?


あれれ?


すみませ~ん。 あたしと一緒にいた、これくらいの小さな女の子知りませんか?


馭者と助手の人にメイアの身長を手で示しながら尋ねると。


ああ、なんだか着いたとたんに、あっちの方へすごい勢いで駆けてったよ。


わ、わかりました。 ありがとうございます。


どうやら、メイアはドラゴンの仲間の気配を感じとったのかも知れない。


このドラゴンの里の敷地は広大なので、メイアを探すのは大変だろうなと途方に暮れた。

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