第128話 ◆早くチューしろよ!

◆早くチューしろよ!


結婚式といっても、仲間のお祝いパーティーなので、特に式次第みたいなのは無いが、司会進行はあたしが務めさせていただく。


まず最初に、モッフルダフさんから、お二方へお祝いのお言葉と乾杯の音頭をお願いします。



あーー おっほん。  お二人とは火の山の洞窟では一緒に戦い、ダンジョン攻略では生死を共に戦い、そして勝利しました。


思えばケルベロスとの闘いで、リアムさんがエイミーさんを抱き上げて介抱されたときに愛が芽生えたのではないでしょうか。


今日のこの日を忘れずに、夫婦睦まじく末永くお幸せに暮らせますよう、心からお祈りいたします。


乾杯!


カンパーーイ!!


パチ パチ パチ


ヒュー ヒュー


パチ パチ パチ


みんなから拍手喝采がわく。


おぉっ、モッフルダフ普通にいい挨拶してるじゃん!


ってか、おやじ三人組、ヒュー ヒュー うるさいしっ!




えー  次にお付き合いの長い、メイアさんから一言お願いします。


メイアがトコトコ、前に出てくる。


リアム、あたしより卓球弱い。 練習して強くなったらまたやる。


・・・


あーー もうよろしいでしょうか?


コク コク


リアムさん、だそうです。


ワハハハ


なんだ、お嬢ちゃんより弱いのかぁ、こりゃ間違いなく、嫁さんの尻に敷かれるな。


ハハハ



では、次にシルフさんお願いします。


シルフはあたしの胸から、ひらひら飛んで前に進み、ホバリングしながらスピーチをする。



リアムは、エイミーに背中を見せると危ない。


だから、いつも抱き合っているといい。


・・・


い、以上でよろしいでしょうか?


コク コク


シルフさん、ありがとうございました。



では、せっかくのシルフさんからの忠告ですので、お二人に抱き合ってキッスをしていただきましょう。


それでは、どうぞっ!


いいぞー やれやれ!  早くやれーー!


アルビン、スヴェン、ラッセが囃し立てる!


それっ チュウーウウ!  チュウーウウ!


どうした、リアム。  今日はエイミーはマグナムなんか持ってねえぞーー!


ワッハハ


男なら早くヤレーー!



あ゛ーー  そこの3人!  今日は飲み会じゃありません、厳粛な結婚式ですのでお静かにお願いします。


それでは、新郎は新婦に熱いキッスをお願いします。


リアムはどうやら覚悟を決めたようだ。


ゆっくりエイミーの前に立ち、そっと目を閉じたエイミーに口付けをした。


エイミーの目から涙が流れ落ちる。


エイミー、リアム  おめでとーー!



それではみなさん、ケーキ入刀までの間、しばしご歓談ください。


あたしは、エイミーのところに行き、お祝いの言葉をかけた。


エイミー おめでとう。 よかったね♪


うん、今日は素敵な結婚式をありがとう。


時間があったら、お料理とかもう少したくさん用意できたんだけど、ごめんね。


いいえ、あたし達のために、ほんとうにありがとう。


で、持ってるんでしょ?


えっ? 何を?


またまた、とぼけちゃって。  ここに硬い物があるんですけどーー。


エイミーのドレスの腿のところに、ベルトでマグナムが留めてあるのをあたしの目は見抜いていた。


やだ、知ってた?  これが、ここに無いと落ち着かなくって!


それは、新郎の方が落ち着かないって!  ねぇ、リアム?


ほ、ほんとうに持ってたんだ・・・


リアムが固まった。



おっ、なんだ。 リアムだって真ん中にマグナムがあるじゃねーか。  しっかりしろよ!


アルビンがリアムのお尻をポンとたたく。


うわっ  下ネタかよっ!  まったく、おっさん3人組なんか招待しなけりゃ良かったよー。



みんなで用意したご馳走を食べお酒やジュースを飲んだところで、いよいよケーキ入刀のセレモニーだ。



それでは、新郎、新婦による初めての(本当はもうやっちゃってるけど)共同作業です。


ちなみにウエディングケーキは、ニーナさんの手作りでーす。


それでは、お願いしまーーす。



二人は少し照れながら、ケーキ用のナイフ(パン屋で借りた)で、勢いよくケーキを真っ二つに切った。


えっーーー!  ってか、説明しなかった、あたしが悪いんだけど~~



では、お二方にバッサリ切っていただいたケーキは、アリシアさんがカットしてみなさんにお渡ししま~す。


この辺にになってくると酔っ払ってるおっさん立ちは、話し聞いてないし、新郎・新婦はラブラブだし。


シルフは寝ちゃったし、子どもたちは駆けまわってるし、もうどうにでもなれだ。



こうしてめでたい結婚式は無事に済んだのだった。   あ゛ーーー  疲れたーーー。

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