第127話 ◆幸せいっぱい
◆幸せいっぱい
ついに、エイミーとリアムが結婚することになった。
でも、こっちの世界では、結婚式はやらないようだ。 そもそもそういう慣習が無いらしい。
もっと驚いたのは、一夫多妻は無論、その逆もあるようだ。
これはちょっと羨ましいかも。 だって、たくさんのイケメンに囲まれて暮らせるなんて、向こうの世界ではありえない。
色々な種類の高等生物がいるから、その辺は何となく理解できる。
例えば、触手人間さんって結婚するの?とか、モッフルダフの奥さんや子どもってどうなってるの?とか考えればきりがない。
でも、婚姻関係について法律がきちんと定まっていないだけで、大概は一夫一妻なのだそうだ。
まあ、エイミーだったら、リアムが浮気した途端に打ち殺すかも知れないし・・・
で、せっかく友達の二人が夫婦になるのだから、ささやかながらもお祝いをしたいと思い、いま結婚式の準備をしている。
出席者は、当人たち以外に、モッフルダフ、アルビン、スヴェン、ラッセ、シルフ、ニーナ、メイア、アリシアの8人だ。
おっと、自分を忘れてた。 全部で11人分だった。
ウエディングドレスは無いけれど、ブーケとケーキは用意できるし、パーティー用のご馳走もたくさん作るつもりだ。
まず最初に、ニーナが花嫁よりも目立つといけないので、髪を三つ編みにして黒縁眼鏡をかけさせる。
が、これはこれで可愛い。 そばかすも描いてみたが、これもありだ。
う~む これはなかなか手強い問題だ。 美人をブスにメイクするのは、意外に難しい。
まあ、親ばかかも知れないので、一先ずこんなところで良いだろう。
もう一度ニーナを遠目に眺めてから、振り返ると早速メイアが真似をして、三つ編み眼鏡っ子に変化してた。
ぷっ
これは、これで萌える~♪
何でも真似をするのは、人間の3歳児とやっぱり同じなんだなぁ。
構って欲しくて変化したのは分かっているので、頭を撫でてあげる。
さ~てと。 それでは、お買い物に行きましょうかねぇ。
この一言で、ニーナとメイアとアリシアがあっという間に集まって来る。
今回は11人分の食材を買い出しに行くので、荷物持ちは多いに越したことはない。
ただし、メイアがいくら力持ちと言っても、たくさん持たせると幼児虐待の容疑がかけられるので注意が必要だ。
ファイアバードのもも肉と卵、ジャイアントラビットのステーキ用肉、岩山牛のミルク、たくさんの野菜とフルーツ・・・
ブーケ用の花、白ワイン風のお酒、お子様用のジュース、部屋飾り用の色紙やテープ・・・
みんなの両手に持ちきれないくらい、いっぱい買った。
おっと、ケーキを焼くための粉や香り付け用のエッセンスを忘れるところだった。
そうだ、肉はメイアに持たせてはいけない。 帰り着く前に一瞬で消える可能性がある。
うわっ もう、涎垂れてるし!
幼女が爬虫類の目をして歩きながら涎をたらしている姿は、ちょっとシュールだ。
パーティー会場はモッフルダフの顔利きで、宿泊している宿の広間が借りられた。 ついでに厨房も貸してくれるというのでご厚意に甘える。
さっそく、料理班と会場設定班に分かれて準備開始だ。
料理班は、あたしとニーナ、それにエイミーも自ら手伝ってくれる。
パーティー会場の飾りつけは、シルフとメイアとアリシアが担当だ。
ニーナはメイド喫茶で働いた経験を活かして、ウエディングケーキを焼いてもらう。
あたしは、メイアが厨房に来ていないか注意しながら、お肉の下ごしらえをする。
それが終わると次はステーキの付け合わせをお皿にセットして行く。
あーー 忙しい! でも楽しいーー!
ニーナはスポンジに生クリームをコーティングして行く。
ニーナ、初めてなのにすっごい上手じゃない。
あたしは、まだこの子が自分の娘だなんて信じられない。
シルフをそのまま大きくしていくとほぼニーナになる。 ただし、妖精の特徴でもある羽は無い。
その美しさは、ララノアといい勝負だ。 ただしララノアは純粋に美しいのだが、ニーナは可愛らしさもプラスされている。
まあ、ただの親ばかかも知れないけどね。
パーティー会場のほうもアリシアがしっかりしているので、綺麗に用意できた。
あとは、テーブルと椅子を出して、用意したお料理とウエディングケーキをみんなで並べて行く。
会場の準備が出来たので、いったんみんなで部屋に着替えに戻る。
今日、食材と一緒にみんなドレスアップ用の服も買ってきたんだ。
結婚式なので、いつもは買わないメイアの分も一緒に選んだのだけれど、予想以上にメイアが喜んだので、いままで普通に自分も欲しかったんだと思ったら急に切なくなった。
これからはメイアの分も一緒に買ってあげよう。
そして、いよいよ結婚式の開始である。
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