第126話 ◆結婚式

◆結婚式


アリシアの回復魔法とニーナの不思議な力のおかげで、エイミーは3日も経たないうちにすっかり元気になった。


港の服屋で買って来た服も、エイミーが前に着ていたお気に入りの服に似たものを選んであげたので、今日はそれを着ている。


買い物に行くときは、モッフルダフからお金をたんまり貰ったので、エイミーにも何着か服を買って来てあげた。


どれも活動的なエイミーに似合うものを選んだけど、ネグリジェと勝負パンツも袋に入れてあげたら、あとで豪く感謝されてしまった。


まぁ、女の子なら勝負パンツの一つくらいは必要だよね。


そのせいか、ポンチョの柄(ヘンテコ動物柄)やあたしが切り裂いた服をリアムが添木の固定用に巻いていた件については、何も言われなかった。



※1部から比べると、あたしの印象イメージがどんどん悪くなっているような気がするので、このへんで作者へ釘を刺しておきたい。


・・・


あたしは今、商売の師匠であるモッフルダフに付いて、師匠がこの国でどんな商品を仕入れるのか勉強させてもらっている。


この国は三方向を高い山脈に囲まれていて、海岸線側も千m級の崖が連なっているため、とてつもなく大きなカルデラの中に国がある感じだ。


農業や林業が盛んであるが、鉱山などは少なく鉱業や工業はそれほど発展していない。


漁業はというと、港が少ないため遠洋漁業が主で、近海は遥か沖合までサンゴ礁と岩礁が続くために小舟での漁が細々と行われている。



次の目的地はこの国のお隣の同盟国で、仕入れる商品は当然お隣の国で需要がある物になる。


モッフルダフは、やはり穀物類と家畜からとれる羊毛、保存の利く発酵食品などを多く仕入れている。


あたしは、今回は資金が皆無なので仕入れはできないが、モッフルダフがお隣の国で利益を得たら、そこからあたし達が損失した分を分割で補償してくれるらしいので、それから商売を再開するつもりだ。



この国は大陸に7つある国の中では一番治安が良いそうで、危険な魔物や動物などには滅多に遭遇しないとモッフルダフから聞いている。


なので、メイアとアリシアとニーナは放し飼い?にした。 好きなところに出かけてよいが、夕食までには必ず戻ってくることが条件だ。


もちろん昼食分のお金は持たせるが、お昼を食べにあたしのところに戻ってくるのももちろんありだ。


シルフはというと、お母さんなのに子ども達の面倒はいっさい見ようとしない。  いつもあたしの肩か頭か胸のどこかに引っ付いている。


シルフは相変わらず、あたしLOVEなのだ。



ついでだが、クジラ君はフィアスと一緒に港の入口からかなり沖で待機している。



・・・


この国には、元々あまり長く滞在しない予定だ。  商品の仕入れが終わり次第出航するとモッフルダフから言われている。


明後日には出航すると言う日の朝、ホットティーを飲みながら、まったりしているとエイミーがやってきた。


なにやら、モジモジしていて いつものエイミーと様子が違う。


どうしたの?


じつは・・・


なに? もしかして、できちゃったとか?


ちょっと、違うわよ!


ふふっ  うそうそ。 な~に?


リアムと・・ その・・ あれよ、あれ。


う~ん なんだろう?


けっ・・ けっこんする!


やったね! でも、もっと早いかと思ってたけど。



この間、プロポーズされた・・・


おめでとう、エイミー♪


ありがとう、セレネ。


で、式とかはどうするの?


?? 式って何?


結婚式だよ。 やだな、とぼけちゃってさぁ。


えっ? ごめん。 ほんとうに知らない。


そうか、こっちの世界では、結婚式ってしないんだ・・・


結婚式っていうのは、神様に永遠の愛を誓って指輪を交換したり、親しい人たちで結婚する二人をお祝いするんだよ。


へぇ~ あたしの村では、そういうのはしなかったなぁ。


それじゃあ、出航する前にやろうよ! 結婚式。  あたしが準備とかしてあげるから。


ちょっと恥ずかしいけど、リアムに聞いてみる。


こうして、あたしは、ようやくくっついたエイミーとリアムの結婚式準備を始めることにしたのだった。

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