第115話 ◆アリシアの秘密(その1)

◆アリシアの秘密(その1)


アリシアちゃんは、7歳だそうでメイアのお姉さんになってくれそうだ。


うまくいけば、メイアのお守りを任せて楽ができるかも知れないとほのかに期待する。


アリシアちゃんは7歳なのにモッフルダフを尋ね、一人でここまでやって来たのは正直凄いと思う。


もしも、あたしがアリシアちゃんの立場で、親に一人で行けと言われたら泣きわめいて拒否しただろう。


しかもハーフエルフというこっちの世界でも珍しい存在らしく、迷ったり・さらわれたりせずによく無事にここまで辿り着けたと思う。


あたしなんか直ぐに拉致られて奴隷市場で売られたし・・・  遠い目・・・



そして母親は、あの絶世の美女ララノアさんだ。


彼女の氷系の魔法はとにかく凄かった。  威力ある攻守の魔法の使いては数が少ないというか、滅多にいないそうだ。


そういう人とも普通に出会えているあたしは、もしかして幸運の女神様が付いているのかも知れない。


アリシアちゃんも母親のララノアのように、いろいろな魔法が使えるのだろうか?


手紙と同時に着くなんて、もしかしたらテレポーテーションとかできるのかもと想像してしまう。



モッフルダフに頼まれて、面倒を見ると軽く引き受けてしまったが、さっそく困った問題が発生する。


まず、喋らない。 最初は言葉が分からないのかと思ったのだけど、こちらの言うことは理解して行動する。


もともと声がでないのかと思えば、クシャミとか鼻歌なんかは普通にする。


シャイなのか、まだこっちを警戒しているのか、悶々と悩む。


もう一つの問題は、メイアと仲がよろしくないように見えることだ。 あたしの気の所為かと思ってみるが、アリシアがメイアに近づかない。


ドラゴンとハーフエルフは元々仲が悪いのか? でもそんな話しは聞いたことが無いし・・・


もしかして、早くもホームシックなのか?  でも泣いたところを見た事は無い。


あたしは、いっぱい泣いたけどな・・・  遠い目・・・



そして、この2つの問題を解決する前に、ついに出航する日を迎えてしまったのだった。


あたしは、出航してしまう前にアリシアを船室に呼び出して、二人だけで話しをする場を設けた。



ねぇ、ひょっとしてアリシアちゃんは、お姉さん達と一緒に旅をしたくないとか思っている?


一応、ストレートに聞いてみる。


フル フル


アリシアは首を横に振る。


でも、お母さんのところに帰りたいんじゃないのかな?


フル フル


またも、アリシアは首を横に振る。


そう・・ あとメイアの事は苦手なのかな?


フル フル


アリシアは首を横に振る。


う~ん もうマジでわからん!


それじゃあ、今日出航する予定なんだけど、お姉さんたちと一緒に来てくれるのかな?


コク コク


今度は、首を縦に振る。


OK、わかったわ。  それじゃ、お姉さん達とわくわくするような冒険の旅へ一緒に出かけましょうーーっ!


・・・


・・・


わ・・・わたし、すべってる?  す、すべってるの?  


そんなに無反応なのは、超つらいよーーーっ!

部分別小説情報

掲載日

2017年 11月22日 19時00分

最終更新日

2017年 11月17

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