第105話 ◆屋台のご馳走
◆屋台のご馳走
船が港に近づくと、クジラくんは大き過ぎてこれ以上、港の中に入っていけなくなる。
そこでクジラくんはリリースして、船の小さな帆をあげ風の力でもう少しだけ港の中まで進み、あとは艀はしけを利用する。
先にあたし達が艀はしけをつかって上陸し、荷物は後から港湾夫の人に運んでもらうのだ。
上陸すると早速、ニーナの美貌に注目が集まってしまう。
なのでリアムとエイミーの後ろを歩くかせて、なるべく目立たないようにする。
あたし達はまずは、この港に先に来ているモッフルダフを探すべく、近くの宿に宿泊していないか片っ端から聞いて回った。
すると5軒目のたいそう大きな宿屋に泊まっていることが分かった。
早速、同じ宿に部屋を取って、モッフルダフが戻ってきたらあたし達が着いたことを伝えてくれるよう頼み、皆で港町を散策することにした。
散策しながらこの国の港町で売っている物や荷揚げされたり、船積みされる物にどんなものがあるかを見ながらメモを取っていく。
メモはきっと、次の商売に必ず役立つ情報となるに違いない。
途中、古着屋があったので、ニーナが目立たないように地味な服を選んで着替えさせてあげた。
こっちの世界には、多種多様な知的生物がいるので、古着屋には見た事もないような服がたくさん売っていて驚く。
穴だらけの服とか、首の部分だけが長ーい服とか、象が着るのかと思うようなでっかい服とか見ているだけで面白い。
古着屋を出て少し歩くと海岸通り沿いに屋台が並んでいたので、少し早い夕食を取ることにした。
どんなものがあるか、覗きながら流して行く。
どのお店もライトアップされて、夕陽が海を赤く染めるのとマッチして幻想的だ。
揚げ物の匂い、しょうゆのような調味料が焦げる香ばしい匂い、ソースの匂い、肉が焼ける匂い、貝を焼く匂い、出汁だしの匂い。
せっかくのダイエットの決意がグラグラ揺らぐ。 まぁ、1日くらいスタートが遅くなっても問題ないんじゃないの!
これだけの匂い攻めにあったら、誰だって降参するに違いないもの。
一流のレストランで優雅にディナーをいただくのも良いが、あたしは屋台で食べるのが好きだ。
自分で食べたいものを選んで食べられるし、人が作ったコース料理みたいなのは無理やり食べさせられている感がある。
それに、みんなでワイワイ楽しくおしゃべりしながらの方が断然楽しい。 お行儀よく食べるのは苦手なのだ。
ニーナは初めての体験にキョロキョロしている。 迷子になっては面倒なので、手をつないで歩く。
知らない人が見たら、とても親子には見えないだろう。
あたし達は、それぞれ好きな物を買って来て、屋台客用に用意されているテーブルに座って食べることにした。
どれも美味しそうなので、みんなで少しずつシェアして食べる。
う~ん、うまっ!
こっちのもスパイシーでおいしいよ!
メイア、全部食べちゃダメだからね。
こっちの焼き鳥もうめぇーーー
この焼き饅頭も最高よ。 あとで夜食用に買っておこうかな。
・・・
・・
・
ふぅ~ いっぱい食べたね~
あたし、スカートのファスナー緩めたら、元に戻らなくなったぁーーー
つまみがうまくて、いっぱい酒を飲んじまったぜ。 ヒック ウィー
それぞれがお腹いっぱい食べて大満足だ。
こうして初上陸の1日目の夜は更けていったのだった。
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