第64話 ◆2階層目(その2)

◆2階層目(その2)


エイミーは早起きして、倉庫で今日の2層攻略に必要な武器を選んでいる。


エイミー おはよう。

あ、セレネ。 おはよう。 ずいぶん早いのね。

それなら、エイミーの方が早起きじゃん。

アハハ それもそうだね。


そういえば地下にいたドワーフは、エイミーが持たせてくれた手榴弾がなかったら絶対に倒せなかったよ。

小型のマシンガンだと頭とかを狙わないと倒せないし、軽くて威力のある武器って他にいいのがないかな?


あたしは、倉庫の中にあるたくさんの武器を眺めながら、エイミーに相談してみた。

なにしろ、持っている武器次第で生死が分かれることが、前の戦いでの教訓の一つだからだ。


それにいつも都合よく、シルフやメイアが助けてくれる状況にあるとは限らない。

これからの上層での戦いなら、より強い敵が現れるはずだし、魔物の数が増えれば数で圧倒されるかも知れない。 

例えスライムだって10匹が同時に襲ってきたら、確実にこっちが負けるだろう。


そうだね~ セレネも体力がついてきたみたいだし、こっちのアサトライフルにしてみる?

それって、どんな銃なの?

セレネが今使ってるのは比較的軽量なサブマシンガンなんだけど、例えばこれなんかは重量が4キロ以上あって結構重いけど、それなりに威力はあるわよ。

4キロもあるの? ずいぶん重くなるなぁ・・・

ちょっと持ってみれば。

あ・・うん。


ほいよっ。

エイミーは黒く光る大きな銃をあたしに差し出した。

おもっ!  あたしは片手では持てずに両手でやっと落とさずに支える。

まあ、鉄の塊だしね~。 あとそれに弾があるから、その分もっと重くなるよ。

無理 ムリ むり これじゃ絶対動けないよ~。

だよね~。 セレネが使ってるのは、1.5キロくらいだから、こいつだと倍以上になっちゃうもんな~。


他に何かないの?

う~ん。 そうだな~。 やっぱりセレネには、今のサブマシンガンが一番あってると思うよ。

あとは、他の武器との組み合わせでカバーすればいいんじゃないかな。

例えば?

うん。 あたしみたいにアサトライフル プラス 腰に付けた拳銃マグナムみたいにさ。

1層の時、手榴弾も使ったんでしょ?

そうなんだけど、焦ってると気がまわらなくて使いこなせるか不安なんだよ。

慣れなんだけどね~。 経験を積む前に殺られちゃったら本末転倒だし。

・・・

あっ、ごめん。 これから2層攻略なのに不安にさせちゃった。

ううん。 忙しいのに時間取らせちゃってごめんね。


セレネ、やっぱりさ。 今のところは、おチビちゃん達とペアで行動して、カバーしてもらうのが一番だと思うよ。

そうだね。 リアムも仲間になってくれたし、今度はモッフルダフも一緒だから頑張る。

うん。 あとアドバイスするとしたら、地道に体力をつけるためにトレーニングのメニューを考えてみるといいと思う。

トレーニングかあ。  

そうそう。 早起きして走り込むとか、腕立て、スクワット・・いろいろあるじゃん。

でもさぁ・・ 体がマッチョになるのは抵抗あるんだよ~。

ぷっ セレネてば可愛いなぁ。  あたしは女捨てたし気にならないからいいけど、普通はそう思うよね。


おやおや? ・・エイミーが女を捨てたってことは、リアムはあたしがもらっちゃってもいいのかな~。

ダメ! それは絶対ダメ!  ってか、セレネってば、どうして知ってるのよーーー


アハハ うそ、うそ。  エイミーとリアムは、きっとうまくいきそうな予感がするから大丈夫だよ!

あたし、応援してるからね。


もぉーーー からかわないでよーーーー


この後の2層の戦いは、朝の乙女のじゃれあいも ぶっ飛ぶものになることを、この時点では全く予想だにしていなかった二人だったのである。

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