第65話 ◆2階層目(その3)

◆2階層目(その3)


リアムが仲間に加わり、今日は2層目の攻略を行うことになった。


リアムの武器は、クラウ・ソラス|(光の剣)という魔法の剣だそうだ。


あたし達のパーティーでは、エイミーとあたしだけが通常兵器で魔物と戦う。

特にあたしはむこうの世界では女子高生みたいだし、ほんとうに銃なんてちょっと前まで全く使ったことが無かった|(使ってたらニュースになってたけど)。


そして二人の最大の弱点は、生身の人間ということに尽きる。

つまりそれは防御力が極めて低いということで、戦闘中は常に攻撃に徹する必要があるのだ。

もしも、守りに入らざるを得ない状況、例えば1層の時のように弾が無くなったりしたら、圧倒的に力の差がある魔物の攻撃を防ぐことは出来ない。

仮にあたしがオリハルコンの短剣を使って、大きなこん棒を真っ二つにしたとしても、そのままの勢いで割れたこん棒が体にヒットしてしまう。


だから脆弱な防御力を補うためには、必然的にパートナーに頼ることになる。

その点、あたしにはシルフとメイアがいるので心強いが、エイミーはいままで防御力の代わりを自身のスピード|(高い機動性)で補ってきたはずだ。


2層の攻略時は、傭兵のリアムがエイミーのパートナーになる。

彼の持つクラウ・ソラスがあれば二人の防御力が上がり、エイミーの攻撃力もまた威力を増すだろう。


・・・

・・


宿屋からダンジョンまでは、2回目の遠征|(さほど遠くは無いが)ということもあって予定より、かなり早く着いた。

ダンジョン突入前に、それぞれの武器や装備品|(ロープやライト、水・食料など)の点検を入念に行う。

特にエイミーとリアムは、お互い初めてのパートナーとなるので時間をかけて、戦闘時の役割や作戦を確認していた。



さぁ、それじゃあ みんな行こうかーーーっ!!


おぉーーっ!!


今回の2層攻略リーダーのエイミーの掛け声に全員が大きな声で答える! 


2層の右回りはエイミーとリアム、左回りはモッフルダフとセレネ・ファミリーで進む。

まずは先日攻略済の1層の一番奥にある階段を目指す。

予想通り、1層に魔物の姿は見えない。 どんどん進むと階段前には、先にエイミー達が着いて待っていた。


遅い!!  エイミーが笑いながら、からかう。

ってか、そっちが早すぎるんじゃん!  


さぁ、ここからが本番よ!

いよいよ未知の領域に突入だ。


みんないい! 万が一、強敵に遭遇して撤退する場合は、必ずこの笛で合図すること!

全員が首から下げた、シルバーホイッスルを確認し、エイミーを先頭に2層へ続く階段を駆け上った。


バァーーン バァーーン


しかし、2層の通路到達前に、エイミーのマグナムが二発 立て続けに放たれた!


なんと次の瞬間、勢いよく飛び込んでいったエイミーが階段を転げ落ちて来た。


途中で一回大きくバウンドしたエイミーの体をリアムの逞しい腕が受け止める。


いかん! いったん階段下まで後退するぞ!!

リアムの声に従い、全員がいま上ってきたばかりの階段を駆け下りた。


あのエイミーがこんな事になるなんて、いったい何があったの?

あたしは早くもパニックに陥りそうになったのだった。

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