第63話 ◆2階層目(その1)

◆2階層目(その1)


夕食の後、リアムが仲間になった事もあって、広間を借りてミーティングの続きを行った。


明日は2層目を攻略するのだが、ダンジョンの円形構造上どうしても、二手に分かれて進まなければならない。

なぜなら、背後から襲われる可能性があるからだ。 簡単に言えば挟み撃ちに合って全滅ってパターンだ。

それならば背中合わせに進み最後に合流した時点で、その階層は完全制圧という戦い方がベストだと思う。

またダンジョン内部が狭いということも、二手に分かれて戦う理由のひとつだ。

大勢で混戦状態になると、お互いの攻撃で同士討ちになるかも知れないし、仲間が気になって集中できないこともある。

実際にシルフやメイアの火炎攻撃のとばっちりでも受けたら、それこそ丸焦げになってしまう。

特にあたしは、シルフみたいに脱皮もできないし、メイアみたいな硬い鱗に覆われてはいない。

このパーティーでは、最弱キャラだ。  普通ヒロインはもっとカッコいいいのに・・・


ねぇ ねぇ  リアム。  リアムの武器ってどんなやつなの?

ミリオタのエイミーは、リアムの武器がすごく気になっているようだ。


俺のは、このクラウ・ソラス|(光の剣)だ。  リアムが剣を抜いて右手で高々と持ち上げて剣を誇らしげに見せる。


おおぉっ! これは伝説の不敗の剣ではないですか。 物知りのモッフルダフが、リアムの持っている剣に驚きの声をあげる。

びっくりしましたよ。 不敗の剣は本当にこの世に存在してたのですね。


いやー 本物かどうか・・  なにしろベルセアモントの胡散臭い武器屋のおやじから格安で買ったからなぁ・・・


ちょっと見せてもらってもよろしいでしょうか?  モッフルダフは、リアムの剣を手に取ってさっそく鑑定を始めた。

そうしてしばらく、剣をながめていたが。

リアムさん。 この剣で戦った時、刀身が光りませんでしたか?


ああ、いつもってわけではないけど、強い敵と戦っていると光がでる時が何回かあったかな。


そうですか。 それなら間違いありませんね。  刃こぼれも全くないし、別名では光の剣とも呼ばれてるものですよ。


リアム、凄いじゃないの!  でも、あたしのかわいい銃達には絶対かなわないけどね~。

あたしは、この一言でエイミーが負けず嫌いな性格であることが分かった。


それじゃ、明日の戦闘隊形は、あたしとリアム。 モッフルダフとセレネ様ご一行のチーム分けでどうかな?

ぷっ エイミーってば、何それ。  ご一行様って超うけるんですけどー。 

とりあえず気が付かない振りをして茶化すが、しれっとリアムと自分をペアにするところが、魂胆みえみえで可愛いぞ。


まぁ、あたしとシルフ(嫁)とメイア(娘)は、ファミリーだからね。 モッフルダフがOKなら全然いいよ。

わたしは、誰とでもいいですよ。  モッフルダフは、一人でもめちゃめちゃ強いので、パートナーは誰でもいいのだろう。


こうして2層目の戦略会議はあっさりと終わり、明日の戦いに備えて各自、早く寝ることにしたのだった。

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