第4話 改稿作業の事始め

 顔合わせ後に原稿を送信。

 WEB上の各話を繋げ縦書きに変換し、これを指定された文字数と行数にした状態です。

 いわゆる0稿と呼ばれるものです。

 これを編集者のK氏が読んで改稿方針を出してくれますが……K氏は既にWEB上で読んでくれていた為、すぐ方針を頂けました。

 この方針を基に書籍化を進めます。

 自分自身で読み返しながら加筆・修正する一方で、K氏からの指摘に応えながら改稿を行うことになります。


 ここで私は大きな勘違いをしていました。

 その勘違いとは「改稿とは編集者と書き手が一緒になって作業をしていくもの」といったものです。間違いです。いえ、正しいのですが違います。

 確かに一緒の作業ですが、それはスタンスの問題! ……上手い表現ができませんが、車の運転でたとえると分かり易いでしょうか?

 編集者は目的地を告げ、アドバイスやナビゲートをしてくれます。でも、運転するのは書き手。実際にどのルートを通るか、どんな運転をするかの決定は常に書き手に委ねられています。

 これに対し、私は二人で一緒に地図を眺め道を相談しながら自転車を漕いでいくようなものと勘違いしていました。


 そのため、「原稿に赤書きされ、どう直すか具体的な文面の指示がされ」、「言われたまま直さねばならない」、と考えていたぐらいです。

 大いなる勘違い。

 物語はあくまでも書き手の物。直す直さない、どう直すか。それは全部書き手が考えるべきことでした……。


 この勘違いが根底にあって、もう一つ分からないことが。

 それは、「どこまで直して良いのか?」。

 WEB版からどこまで改編するかの度合いが分からない。

 書き上げた内容に対し書籍化打診があるわけで。極端に言えば、タイトルだけ同じで中身が違ってはダメなはず。

 そもそも、書き上げた物語は、『自分が楽しいと思って最高と考えるもの』なわけでして、それを変えたくない気持ちが常にあります。でも、同じままではつまらないし、新たな内容に変えたい気持ちもまたあるわけです。

 だから悩みます。

 明確な答えを出せないまま改稿作業に取りかかり、悩みながら手を加え改稿作業を行っていました。

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