第3話 顔合わせと打合せ

 打診があってから約十日ほど後の日曜日。カドカワBOOKSの編集者K氏と会うことになりました。

 もっともこれは、両者の都合が合ったので実現しただけで、場合によっては会わないまま作業開始という場合もあるそうです。


 K氏は東京から新幹線で遙々と、私の方はバスで一時間ほど移動。

 約束した駅で出会う……のですが、人が多くて誰がK氏か分からない。

 大きな声で名前を呼ぶべきか悩んでいると、メール着信。

「もう居ますので、よければ電話してください」

 でもって電話すると、目の前にいた人がK氏。なんか気まずい。


 挨拶を交わします。

 K氏は緊張を解そうと話題を振ってくれますが、緊張もあってぎこちなくしか話せない。そんな感じで移動していき……案内されたのが高級寿司店。そう、高・級・寿・司・店!

 まずは食事でも、ということでした。

 接待費? があるので大丈夫と言われますが、奢って貰うのは気が引ける。でもしっかり食べました。流石に美味しい!

 なお、今回は偶々お寿司なだけで、ラーメンや焼き肉という場合もあるそうな。

 そして寿司を食べながら雑談。

 作品を書き出した理由、作品に込めた思い……などを聞かれるうち、何故かエロ系の話に。高級寿司店内に禁則ワードが飛び交います。

 だからなのか?

 寿司が出るスピードが妙に速く、食べ終わるとやんわりと店を追い出される。

 その後は二人で周囲を彷徨い喫茶店を見つけ、コーヒーを飲みつつ打ち合わせすることに。でも、そんなおかげで、気分はすっかり解れてました。


 喫茶店にて本題の打合せを行います。

 まず確認されたのは、「書籍化する意思があるか」です。もちろん了承。

 それから物語に対する思いや考えについて、改めて聞かれます。

 これはどうやら、K氏が書籍化にあたっての改稿方針を出すため、互いの意思や考えを統一するための擦り合わせに感じました。

 次。

 これからの流れを大まかに教えて貰います。

 改稿、校正、校了、製本、など耳慣れない言葉。いつまでに何をして、いつ発刊するかなど説明を受けます。

 丁寧な説明ではありますが……入学案内のパンフレットを説明される感覚でしょうか? あまり実感がないのも事実。やっぱり、やってみないと分からない。

 なお、打ち合わせにはペンと手帳を持って参加すべき。私は忘れました。

 次。

 イラスト関係も打ち合わせ。

 この時点でイラストをどなたに頼むか複数の案を提示される……そうですが、私の場合はちょっと特殊。

 なんと四季童子さんに依頼してみたいとの考えを示されました。

 驚き喜ぶものの……「案の段階なので、どうなるか分からない」と釘を刺され、期待から落とされてしまう。

 イラストに合わせ、既刊本を参考に表紙・口絵・挿絵と書籍化した場合のイメージを説明されます。

 なお、参考に既刊本も頂けました。

 どちらも好きな作品なので、ありがたく頂戴。

 

 気付けば日も暮れて。

 なんだかんだと半日ほど打ち合わせ、喋り疲れて喉が涸れそうなぐらい。

 雑談も多かったですが、この顔合わせが自分にとっては大事だったかと思えます。K氏と顔を合わせ、その人となりを知っていたからこそ、書籍化作業の半年近くを一緒に作業できたかなっと思えます。

 顔合わせが出来たことは運が良かったです。

 なお、以降は全てメールと電話でのやり取りになりました。

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