第10話 高町咲、本格始動!

 さぁ~て、さてさて高町咲、本格始動! なわけです。


 ドラ先の名前はわかった。奈良橋バルトさん。

 もー、ほんっとサンキュー湖上さん。私これからもあなたのSpread楽しみにしてます。


 で、お次はどうするか。


 そんなのもう決まってる。

 追いかけるしかない。

 恐らくバルトさんはサポート専門のドラマーだろうから、サポートしてるバンドのライブに行けば良いのよ。咲、冴えてるゥー!


 ……ちょっと待って。


 だからさ、そのって何?

 それはどうやって調べるわけ?


 バカバカバカバカ! このヌケサク!

 ひとっつも冴えてなんかないじゃん! 

 バルトさん、SNSやってないんだって! 俺、○○のライブに出るから、みんなヨッロシックねぇ~! とかってやらない人なんだって! 硬派なんだって!

 あぁん、でも硬派って良い響きかも。

 そうだよね、確かに湖上さんには助けられたけど、あそこまでチャラい感じだとちょっとねぇ。いや、演奏中はすっごい恰好良かったですけどね? 恰好良かったっていうか、ちょっとエロい系っていうか。セクシー! そう、セクシー系!

 ……うん、まぁ、ますます無いかな。

 願わくばバルトさんは、いま私が思い描いているまんまの硬派な感じの人であってほしい。


 いや、だから!

 硬派すぎて情報が集まらんのだって!


 どうする? どーするよ、これ!


 助けて! 湖上さん!

 バルトさんってば硬派すぎるんだって! だから、あなたが告知してよぉ~!


 とりあえずは、打つ手無し!


 高町咲、無念の就寝。


 ていうか、明日も学校だしさ。

 勉強して、バイト行って。何はなくともお金だけは貯めておかないと。


 もしバルトさんがいろんなバンドのサポートを掛け持ちしてるんだとしたら、いままでとは比べ物にならないくらいたくさんのライブに行かなくちゃならないわけだから。

 

 だから絶対に手は抜けない。

 このまま成績をキープして、他の子にバイト取られないようにしないと!


 成る程、わかった。

 いまやるべきことはとにかく勉強!

 がっつり勉強して、がっつりお金稼ぐ!

 そうすればライブにもたくさん行けるし、もちろん看護師の夢だって叶う!

 無理出来るのはいまだけなんだから。私、まだピッチピチの10代ですから!

 よし、短時間OKのバイトも探してみよう!


 オーケーオーケー。

 こうなると私は強い。

 目標が定まればブレない。


 高町咲、本格始動だ!

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