第8話 やっつけていこう!

bass:上田コージ、湖上勇助、YURI、芳一、RYO-HEY

drums:長田健次郎、KIYO-C、奈良橋バルト、和田みよし、鰐淵央介


 ――落ち着いて。

 落ち着いて考えるんだ、私。


 1つ1つやっつけていこう、うん。


 とりあえずべー先からいってみようか。


 まずは顔を知ってる芳一よしかず君を×。芳一君、ごめん!

 それから、このどー見ても女性としか思えないYURIさんも×。

 残ったのは上田コージさん、湖上勇助さん、RYO-HEYさん。一旦ここまで。


 お次はドラ先。

 同じくKIYO-Cキヨシさんを×。ほんっとーにごめんだけど!

 でもここからが難しい。和田みよしさんって女性かなぁ? 

 ……うーん。

 でも、少なくとも、ドラ先のあの感じ、『みよし』さんではないよね。

 って、それ言っちゃうと正直『健次郎』さんとか『央介』さんって感じもしないんだけど。むしろ、バルトさん? あのガタイ、外国の血が入ってそうだし!


 さてと。


 あとはもう地道にやってくしかない。

 この名前を1人1人検索していく。

 ブログとかSNSとかやっててくれれば良いんだけどなぁ。

 でもなぁ、あんまりチャラチャラしてるのもどうだろう。


 キレーなおねーさん侍らせてさぁ、

 肩なんか抱いちゃったりしてにやけまくってさ。


 ちょっ、ちょっと! そんなことない! そんなことあるわけないって、私のドラ先!


 『でも』と『やっぱり』を交互に並べて、気分を上げ下げしまくった私は、もう息も絶え絶えだった。

 とりあえずお湯を沸かしてカップ麺を作る。


 この待ち時間だけは、3分間だけは何も考えないようにしよう。

 だけど、無心になろうとすればするほど考えちゃうってわかってるから、あえて無理やりに別のことを考えようとした。


 でもやっぱり頭の中を占めるのは、あのたくましい腕と、踊るように揺れていた長い髪。それから田島っちのブログに載せられてたオフショットの笑顔。

 ドラ先とべー先とで田島っちの両肩を抱き、串に刺さったお団子兄弟みたいに3つ笑顔を並べて。でも田島っちってBULLETSの中でもいちばんの小柄っ子だから、べー先もドラ先もすっごい窮屈そうに身体を丸めている。そんな大男に挟まれた田島っちは楽しそうな顔ではあるんだけど、ちょっとビビってる感じ。で、後輩にそんな顔させてる先輩方は、これまた満ッ面の笑みなわけ。


 あぁ、ドラ先、歯並びもきれいだったな。

 目はぎゅっとつぶってたから大きいのか小さいのかはよくわからないけど。

 たぶん楽屋で撮ったんだと思うんだけど、べー先はド金髪だった。いや、ド金髪っていうか、色を抜きすぎてて、何なら銀髪? 白髪一歩手前? ってくらい。派手な人だなぁってのが第一印象。

 それに比べてドラ先は対極なのね。真っ黒。太めのターバンでおでこをちょこっと出してて、後ろで1つに結わってるのかな。どれくらいの長さなのかはわからなかったけど。きりりとした太めの眉毛もご馳走様です!


 ご馳走様? いや、私、これからご飯じゃなかった……?


 ――あぁっ! あああああぁぁ!


 のっ、伸びた! ラーメン!

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