住み分け
(二次創作作品ってあるだろ。)
「うん。」
(ある漫画が好きで、その作品の二次創作動画を探していたんだよ。そしたら偶然一つの動画を見つけたんだが…その動画が酷いのなんのって。)
「というと?」
(原作の設定とか色々な物を無視しちゃっててさ、再生して3秒で胃がもたれたわ。)
「大げさじゃない?」
(いやいや、あれは俺じゃなくても原作ファンは皆ぶち切れると思う。それほどに酷い。)
「そんなにも?」
(それで頭にきたから動画のメッセージ欄に改善点とか不満とか15個ぐらい書いてやったわ。)
「荒らしじゃん…。」
(神聖な原作が汚されたんだ。ファンとして黙っていられるかよ。)
「声を上げること自体は悪くないと思うよ。でも節度って大事でしょ。お前が不快に思った作品でも、人によっては好意を持っているかもしれないじゃないか。」
(お気に入り登録0でも?)
「0でも。」
(でも書かなきゃ相手に伝わらないだろ。)
「意見を伝えたいなら動画を荒らすような方法じゃなくて、メールアドレスなりブログなり、作者本人に直接アクセスできる場所に問い合わせるべきでしょ。何かしら動画説明欄にあったでしょ?」
(…ちゃんと見てない。)
「どうしても改善を求めるなら、こちらも真摯な態度を忘れないことだ。」
(でも下手に出て何も対応しないとか舐められたことされたら嫌じゃん。)
「改善される見込みがないなら、その作者の作品を見切ればいいだけの話。二次創作作品なら他にもやっている人が居るだろうし、選択肢の幅は広いと思うけど。住み分けは大事だよ。」
(他の連中にも評価されない作品ならば、離れるだけで自然とその動画は衰退する、か。しつこく付け回してトラブルに見舞われても厄介だしな。住み分け、してやろうじゃん。)
「まだ見ぬ良作の発掘も楽しいし、それが一番。」
(だな。)
「ところで、お前が言っていた残念な二次創作動画、ちょっと見せてよ。」
(おう、いいぜ。お前も絶対ドン引きするから、覚悟しろよ。えっと…)
「これか。物語かと思ったら、PV風作品なのね。…あれ?」
(ん?どうした?)
「この動画投稿者名…。」
(投稿者名?…あれ、これどこかで…。)
「とりあえず投稿者紹介ページに…5年前に作られたアカウント。」
(あ…。)
「生年月日、一緒だな。」
(高校時代から放置しっぱなしだった俺のアカウント…。まだ残っていたのか…。)
「…動画にクレームがつきましたが、どうなさいますか、投稿者さん?」
(…ちょっと神動画作ってくる。)
「頑張って。」
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